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焼き物のはなし 

メカニズムに関係をもってくるので、焼き物の事を簡単に少しだけ書きます。

 唐津焼は陶器で、有田焼は磁器となります。有田焼の原料は流紋岩が温泉等の熱変性で白くなったもので陶石と言い、硅石と長石(硝子成分)が多く含まれています。従って、陶石を粉にし、そのまま粘土として使います。

 900℃レベルで素焼きした後、透明釉を施し本焼きをします。焼き上げる温度は1300℃が目安になります。焼きあがった碗に透明感があるのは、硝子成分が溶解した影響によるものです。

 唐津焼は山土を使いますが、硝子成分が少ないのでそのまま粘土とし焼けば隙間だらけの焼き物になってしまいます。そこで粘土にする際、硝子成分とを補填します。これを陶土と言います。磁器と同じ900℃レベルで素焼きをし、釉薬を施します。

 この時使う釉薬には硝子成分の溶解を促進させる石灰を混入します。1200℃で本焼きしますが、石灰の影響を受け、本来1600℃レベルでないと溶解しない硅石も溶け、焼き上がりはツルツルとなるのです。磁器と違い陶器は、釉薬が焼き物の水漏れ防止の役割を果たしているのです。

数億年の自然の営みの中、石が風化し砂となり土となり・・・そしてタイルと言う焼き物なった。・・・少々乱暴ではありますが間違いではありません。

 以前ブログで石やタイルの其々の共通した主成分が硝子成分(シリカ)とアルミナであると述べましたが、今回のテーマで少しはご理解頂けると思います。補足するとアルミナについては主に長石に含有されていると思います。

さて、本題に入っていきますが。

焼き物(タイル)の成分構成 

 陶器と磁器の違いについて簡単に記しましたが、焼き物(タイル)の基礎を知らないと、薬品系滑り止めは決してうまくいきません。

 自然石は成分的に幾つかに分類されますが、化石岩系(主に大理石)や堆積岩のなかでも凝灰石に位置づけされる岩石と花崗岩に大別して分類すると理解し易いと思います。タイルとほぼ同じような成分構成となるのが花崗岩となります。

 成分構成は似ていますが、成分粒子構成は大きく変化します。実はこの部分を熟知することが、滑り止め施工において最も重要なポイントとななります。

 ついでにセラミックタイルにも少し触れてみます。基本材料となるのは岩石です。有田焼きは材料となる岩石をそのまま粘土にしますが、セラミックタイルの場合、事前焼結と言って岩石そのものを粘土にする前に高温で焼きます。

 岩石に含まれている不純物を燃焼させ、硝子成分の純度を上げるためだと私は考えています。事前焼結の際の温度は、岩石によって多少違いがあり、メーカー毎のノウハウがあるみたいです。事前焼結した岩石を粉砕し、粘土(ボンドと呼びます)にし、1300℃直前の温度(例えば1280℃)に設定し焼き上げます。

 タイルと石材の共通点が何であるか少しはご理解いただいたと思います。成分構成で僅かに違うのは、硝子成分の含有量だと考えてください。

成分構成は似ていても、成分粒子が違う

しかし、成分粒子構成となると、タイルと石材は大きな違いがあります。結晶構成の石材とそれらを粉砕し、または風化し土となったものに硝子成分を補填し、焼き上げたタイルとは成分粒子の大きさが違うのです。

そして、その成分粒子の違いが、薬品反応に大きな影響を及ぼすことになります。

 成分粒子の大きさが違うと言うことは、当然ながら粒子結合で形成された隙間の数にも変化が生じてきます。隙間の数?ナンじゃソレって事になりますが、これが滑り止めME工法のメカニズムを語るに重要なポイントとなります。

 隙間の数をどう操るか?・・・数とパワー(吸盤)との関連性を導き出すために苦労した・・・

 高齢になると、身体的な活動能力やバランス感覚・注意力が衰えるため、転倒事故を起こしやすくなります。 こうした高齢者の転倒事故は発生する頻度が高いにもかかわらず、最悪の場合寝たきりのキッカケにも繋がってしまうので恐ろしいですよね。介護施設でケアをする際も、転倒には十分気を付ける必要があります。

介護施設でおきやすい事故No1は転倒?

介護施設では転倒事故が多い

まず最初に、介護施設で起こりえる事故の区分内容を見てみましょう。
上記表から見てわかる通り、特養やショートステイ他どの施設においても割合が大きいのが「転倒」となっています。
また全ての施設のトータル的な数値で考えても、「転倒」が全事故のなんと約六割を占めています。さらに「転落」と合わせると、施設で起こりうる事故の実に七割という結果になっています。転んだり倒れたり落下したりすることによる事故が、介護施設で起きる事故の大部分をしめている現状が見えてきます。

転倒事故の発生はなぜこわいのか?

介護施設で起こりやすい転倒事故は、なぜこわいのでしょうか?実は高齢者の転倒は、容態を悪化させ要介護度を引き上げる原因になったり、場合によっては死に至るという統計があります。転倒事故を避けたい理由について、具体的に見ていきましょう。

理由1:容態(要介護度)を悪化させてしまう

転倒事故と介護度悪化の関係

転倒事故は、高齢者の容態・介護度の悪化に影響を及ぼすと言われています。上記図をご覧ください。厚生労働省の調査によると、要介護度別にみた「介護が必要となった主な原因」で、「転倒骨折」が上位に食い込んできています。
高齢者は転倒時に骨折が起きやすいという事実もわかり、介護が必要となる要因に転倒が深く関わっていることが分かります。

理由2:死亡事故の原因としても多い

転倒事故と寿命の関係

また、転倒事故は寿命にも関わってくる…という統計データもあります。上記図の「不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数」によると、80歳以上の高齢者では「窒息」についで「転倒・転落」による事故死が多いということがわかります。
転倒によって介護度が上がってしまう可能性だけでなく、亡くなる原因となってしまう危険性もあるんですね。高齢になるほど、転倒による身体への影響が大きいという傾向も見えてきます。

理由3:施設にとっては訴訟が起きるリスクがある

転倒事故を避けたい三つ目の理由としては、介護施設で起きた「転倒・転落事故」は「訴訟・裁判に繋がる恐れ」があるということです。
判決で不法行為となった場合には、関わった職員だけではなく雇っている介護施設を運営する事業者もまた責任を負い、損害賠償を行うことになります。
転倒・転落事故において「適切な予防策を行っていない場合」の判決においては、過失・損害賠償請求が認められやすい傾向にあります。介護施設には、転倒・転落をしないための「適切な対策」が求められているのです。

介護施設での転倒事故は、いつどこで起こる?

では、転倒事故は介護施設のどこで起こる危険性が高いのでしょうか?転倒事故が発生しやすい場所について、詳しく見ていきましょう。

転倒事故が起きる場所の1位は”居室”

居室での事故が多い

上は「転倒が起こった場所」と「転倒の原因となった行動動機」のクロス図です。この図から転倒事故について、分析してみましょう。
図を見ると場所としては「居室」での事故が圧倒的に多く、行動としては「自力歩行時、移乗時、立ち上がり、自己体動時」に事故が多いこと分かります。
更にこの資料で読み取れる事故が起きやすい「場所」と「行動」から想像してみると、「居室内にいて自分でトイレに行こうとした時」といった風に、事故が多いシチュエーションが具体的に見えてきます。

転倒事故に関わる機器=ベッド

ベッド周りでの事故が多い

上図を見たところ、事故に最も関係する機器として「ベッド」の割合が大きいことがわかります。ベッド周辺での転倒事故が多い、ということですね。
先ほどの「居室」で「自力歩行時、移乗時、立ち上がり、体動時」に転倒事故が多いという点も踏まえてシチュエーションを考えると、「寝ている安静の状態から行動を起こすときに転倒事故が起こりやすい」というイメージが見えてきます。

転倒事故の防止は、どう対策したらいい?

これまで転倒事故に関する具体的な情報を述べてきましたが、利用者にとっても施設にとっても厄介だということが浮き彫りになりました。ではその厄介な転倒事故を防ぐためには、介護施設としてどのような対策を行ったらいいのでしょうか?
ここでは前述した、転倒事故の起こる危険性が高い「居室」に場所をしぼり、安静時から移動・移乗しようとした際の転倒防止対策について考えていきたいと思います。

「ベッドで見守りナースコール」で転倒を予防!

最も転倒事故が起きやすい居室は、1日の内で利用者が過ごす時間が長く、スタッフの目が届きにくいという特徴があります。また、ベッドからの起き上がり、ベッドからの離床など、事故が発生しやすい状況が多く起こる場所です。そんな居室にいる時の利用者の動きを見守り転倒事故を防ぐには、スタッフに代わってベッドが常時見守る「ベッドで見守りナースコール」が最適です。

ベッドが利用者の動向を見守る?!

ベッドで見守りナースコール

ベッドで見守りナースコールの強みとして、スタッフが見回りをせずとも、事務所に設置した管理PC画面上から「利用者がどのような状態なのか」を確認することができる点が挙げられます。これは精密な離床センサーと連携することで、体動や端座位など、利用者の細かな動作を検知できるからです。
特に介護度が高く1人での行動に危険が伴う方や、夜間など足元がふらつきやすい時間帯に関しては、事故が起こりえる前段階である「起き上がり・離床の把握」を徹底したいところ。「行動の際はナースコールを押すように」と促していても、なかなか行うことができない利用者さんもいらっしゃいます。
そんな悩みも「ベッドで見守りナースコール」なら、転倒の元となる「動作が発生する前段階」で検知できるので、異常にいち早く気づくことができるのです。

 消費者庁には、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が5年間で275件寄せられており、後期高齢者では前期高齢者の2.2倍にもなっているようです。また、8割以上の方が通院や入院が必要なけがを負っていたとのことです。転倒によるけがは「頭」「顔・首」の「擦過傷、挫傷、打撲傷」が多くなっていますが、次いで「脚・足」の「骨折」も多く、骨折をした場合は要入院となる高齢者が76%に上るなど、転倒事故によって深刻な状況を引き起こすことが分かりました。さらに、高齢者の自宅内での転倒事故には、下記のような特徴がありました。

転倒事故の発生場所

転倒事故の状況

 滑る、つまずく、ぐらつく、ベッド等から移動時に、引っ掛かる

 加齢に伴って、日常生活の中にも転倒事故のきっかけとなる危険性が高まってきます。住み慣れた自宅であっても、転倒予防のために以下のような点に注意しましょう。

事故防止のためのアドバイス

個人に合った適度な運動を続け、体の機能の低下を防ぎましょう。浴室や脱衣所には、滑り止めマットを敷きましょう。寝起きや夜間のトイレなどで、ベッドから起き上がるときや体勢を変えるときは慎重にしましょう。段差のあるところや階段、玄関には、手すりや滑り止めを設置しましょう。電源コードが通り道にこないように、電気製品を置きましょう。

消費者庁注意喚起全文

本件に関する問合せ先

消費者庁消費者安全課

電話 03-3507-9137(直通)

今回は、お風呂の床について・・・

 なぜ滑るのか? なぜ滑りが止まるのか? どうすれば床の脂分を除去出来るのか?

など、基本的な原理を知らない(解からない)で施工している業者さんが多くないですか?

お客様にもちゃんと説明出来ていない(笑)

そんなン聞いてない。そんな説明なかった。すぐに滑り出した等行く先々で、お聞きしますね・・・

 介護施設、ホテル、銭湯、スーパー銭湯等々のお風呂の床が滑る。一度他社で滑り止め施工したがすぐに滑り出した。などの依頼が増えています。

 施工させて頂いた施設様のほとんどのお風呂の床の滑り方が酷い状況の所が多いです。特に高齢者の方が多く使用されているお風呂の床は単に滑るとか、ぬるぬる滑るとかではなく、乾いている時はべたべたしており濡れるとズルズル滑る床に変身します。

 この床の滑りかたの違う理由は日常清掃等もあるが、1番の理由はお風呂を使用される年齢によるものが大きいです。

 例えば、20〜30代、40〜50.代、60代以上など年齢層によって違いがあり、今まで施工させて頂いた施設様でのヒアリングや統計、検証の結果でわかった事は、身体から出る脂の量の違いのあるが、最も違うのは脂の濃度の問題だと思います。

 20代〜50代ぐらいの年齢層の方は、たくさん汗をかきますが水分の摂取量も多いため汗と一緒に出てくる脂分(体指)も濃度が薄くサラサラとしています。60代以上の年齢層の方は、水分の摂取量も少なく汗もあまり欠きません。その為、脂分(体指)が凝縮され汗と一緒に出てくるので非常に濃い脂です。それが、同じ年数同じように蓄積すると床の感じや滑りかたなどに違いが生まれてきます。

その一例が

蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態に

浴場施工については弊社独自の手法があります。手順は次のとおり。

特殊溶剤塗布(一般に販売していないレベルの溶剤です)(二次溶剤塗布(特殊溶剤に重ね塗りしていきます)中和剤塗布 (中和剤の作用によりタイル内部の脂分汚れを少しでも多く外に出します)中和洗浄  (弊社の○○洗剤使用。今回はpH○○レベルにして使用)洗い流す  (洗い流すのにも、コツがあります) 
体脂でヌルヌルのタイル

以上の手順で施工後、床面をすると、床面がタイル内部(毛細管)から蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態となりました。

 べたべた感の床では、あふれ出てくる体指を○○洗剤で中和分解して洗い流し、それを繰り返し行うことにより床のべたつき感が無くなります。1回、2回の洗浄では滑りは止まっているが、べたつき感が残ったままでラードの上を歩いているような感じです

 脂分(体指)を中和分解洗浄するには、床に残留している脂分のPH値とそれを中和分解する為の洗剤がどのくらいのPH値が必要なのか知らないと脂分が残留し、すぐに滑り出す事になります。

なんでもいい、滑りは止まっているでしょではダメです。

 滑りを止めて、それを少しでも長く維持できるように最初にきっちり施工し、その後のメンテナンスをメンテナンスマニュアルを作成して渡すだけでなく、維持できるように弊社は一緒にメンテナンスもさせて頂いております。

 お客様が安全安心でご利用され、施設様も的確なメンテナンスで長く維持出来る様に、日々研鑽に励んでいます。

床内部への汚れの滞留

 どんな床でも微細な隙間が存在します。隙間が広い・多い床材は「吸水性が高い」(大理石など)、逆に隙間が狭い・少ない床材は「吸水性が低い」(セラミックタイルなど)と表現されます。吸水性が高い床材は滑りにくく、吸水性が低い床材は滑りやすい傾向にあります

 防滑施工によって、微細な隙間、穴を空けるなどの化学反応を経た床材は、施工前より水や空気の通りがよくなっています。そこに目に見えないミクロレベルの埃、油脂などが、隙間に入っていきます。滑りはそれらが滞留し目詰まりを起こすことで起こります

 防滑(滑り止め)施工をして、滑りが止まってもそれで終わりではない。

そこからが、始まりなのです。

適正なメンテナンスをしないと・・・

防滑施工したのに滑りが発生する理由

それは、お客様の責任だけではなくはなく、

施工はするが、その後滑りが発生するメカニズムも知らない、メンテナンスの方法も説明出来ない施工業者が多すぎる。

床内部への汚れの滞留画像.jpg

 どんな床材(タイル・石材)でも微細な隙間が存在します。

 隙間が広い・多い床材は「吸水性が高い」(大理石など)、逆に隙間が狭い・少ない床材は「吸水性が低い」(セラミックタイルなど)と表現されます。吸水性が高い床材は滑りにくく、吸水性が低い床材は滑りやすい傾向にあります。

 防滑施工によって、微細な隙間、穴を広げる、空けるなどの化学反応を経た床材は、施工前より水や空気の通りがよくなっています。そこに目に見えないミクロレベルの埃、油脂などが、隙間に入っていきます。滑りはそれらが滞留し目詰まりを起こすことで起こります。

不適合、もしくは不十分なメンテンナンス 

 床内部への汚れの滞留を引き起こす主な原因は、メンテナンスにあります。

 あなたの現場に適した洗剤は?この初歩的なこの質問に答えられないと、防滑効果を維持するのはむずかしいと言えます。

床材、環境、状況に合ったメンテナンスは、効果持続の生命線です。

1.現場の床材や汚れの種類を知らない 

 基本中の基本です。

そもそも床材の性質と付着する汚れの種類を知らないと、清掃自体ができません。

2.使用する適正な洗剤を知らない 

どんな洗剤をどんな濃度で使い分ければいいのか?を知ることが重要です。

3.利用状況より対応すべき作業内容を知らない 

利用者の多い日、歩行頻度などの状況を見て、メンテナンス方法を変えていますか?

お風呂(銭湯、スーパー銭湯、ホテル、旅館など)は一番多い利用者の年齢層なども考慮して、メンテナンス方法を変えていますか?

4.清掃頻度、ローテーションが決まっていない 

 日常清掃、定期清掃のスパン、作業内容のルーティーン化ができていないと、汚れはどんどん蓄積していきます。

 これらは滑り止めに関わらず、清掃業務として初歩的なことですが、意外とできていないケースが多いです。

不都合な真実 

 防滑性能の維持は、「誰にもカンタンに」というわけにはいかない。でも、やることはシンプル。
弊社の宣伝を考えると「5年10年もちます!」と言いたいところだが・・・要は「何年持たせたいか?」に尽きる。

 防滑施工は、安全安心の始まりに過ぎません。いかに安全安心を長い期間持続させるかが、もっとも重要です。何年もつかは現場の環境とメンテナンスの取り組み方によって変わります。ですので、最初にしっかりとした打ち合わせが必要です。

 メンテナンスを清掃の延長線上と軽く考えると、汚れ対策も滑り止め対策も決してうまく軌道しません。

これって何年もつの?」に対する回答は、「どう持続させるか?」になります。

 そのためには、滑り止め業者の経験と知識、ノウハウが必要、必然となります。単に5年10年の保証を銘打っても、床を守れる知見がなければその意味はありません

防滑効果を長く持たせるには? 

「誰にもカンタンとはいかない」と言いましたが、当たり前のことを当たり前にやる。それだけで、防滑効果は維持できます。エスリードジャパンでは、長く安全安心を維持していただくために、以下のプロセスを経たフォローをさせていただいています。

1.現状把握とヒヤリング 

 新設はもちろん、特に敷設済の現場では、施工前に現場の状況をヒヤリングをさせていただいています。
例えば、温泉浴場であれば「温泉分析書」を見ながらいくつか質問をします。

基本的な質問 

  • 床材は何か?石かタイルか?
  • 日常清掃をどうしているか?
  • 床面状態がどうなっているのか?
  • 体脂肪で光っていないか?
  • スケールで白っぽくなっていないか?
  • 使っている洗剤は何か?
  • 何人で作業しているか?
  • 作業時間は何時間あるのか?
  • 使っている道具は?
  • 定期清掃はあるのかないのか?
  • 定期清掃があるとすれば年何回あるのか?

つっこんだ質問 

  • 日常清掃ではPHどれくらいのを洗剤を使っているのか?
  • 汚れの反応性の関係上、最低2種類(アルカリ性、酸性)の洗剤が必要となるが、使い分けできているか?
  • 一日の入浴者は平均何人くらいか?
  • 一番多い入浴者の年齢層は?
  • ポリッシャーの回転数は、毎分何回転のものか?
  • バフかブラシか?

「そこまでする必要が・・・?」とお思いでしょうが、私どもの商品は“安全”です

 施工時の防滑効果はもちろん、その維持まで責任があります。お客様あって初めて成立するもの。コミュニケーションは品質を決める。それだけ重要なフェーズになります。

2.汚れの種類、床材・環境に合った洗剤の使い分けを知る。 

 浴場施設とショッピングモールでは、除去すべき油脂成分が違います。よって、使用する洗剤のPHレベルも大きく変化させる必要があります。

 床材の吸水性を始めとするそれぞれの特徴・特性によっても、床内に滞留する油脂、汚れの量も変わります。

 まず床材を知る。そして、現場に付着・滞留する汚れを種類を知る必要があります。そのためには、防滑処理したスペースだけでなく、汚れの持込要因となる周辺環境(タイルアスファルトコンクリートインターロッキング植栽など)も考慮に入れることになります。

  また、モルタルの灰汁など、アルカリ性物質が発生したり、滞留した油脂成分が酸化したりします。ですので、使う洗剤も酸系/アルカリ系と使い分けが必要になります。

 集客施設やマンションなどは、歩行頻度や周辺部に樹木等があるか否か、晴天時、雨天時によっても、当然違いが出てきます。

3.メンテナンスマニュアルをつくりPDCAを回す 

 浴場施設とショッピングモールでは、除去すべき油脂成分が違います。よって、使用する洗剤のPHレベルも大きく変化させる必要があります。床材の吸水性を始めとするそれぞれの特徴・特性によっても、床内に滞留する油脂、汚れの量も変わります。

 弊社のメンテンナンスマニュアルに準じた多くの現場では、防滑性能510年の維持実績があります。

これらの情報を元に、弊社では防滑施工後のメンテナンスマニュアルを発行しています

 グリップ力を低下させる原因、発生する汚れの種類、具体的な洗剤、メンテナンス頻度・方法まで、その現場・体制に合ったマニュアルを作成し、維持に努めています。

消費者庁は、店舗・商業施設で買い物中の転倒事故について注意喚起をした。

<店舗における事故の状況>


2009年9月から2016年10月末までに、店舗・商業施設 での事故情報が845件寄せられているが、7割以上の602件が、買い物中に滑る、つまずく等によって起きた転倒事故だった。

転倒事故の3割以上の方が骨折など治療期間1か月以上のけがを負っており、高齢になるにつれて、足元や周囲に想定外の変化があった時、その対応が遅れがちになる。

転倒事故は、床面での滑り事故が最も多く、次いで店舗内床面の段差や凹凸によるつまずき、駐車場の路面の段差や凹凸によるつまずき、床に置かれた商品や荷物用台車等でのつまずきの順になっている。

また、店員が回収中のショッピングカートや移動中の荷物用台車に衝突されたことよる転倒事故も起きている。

転倒事故は、女性の転倒事故が7割以上(男性の3倍)を占め、高齢になるにつれて、骨折など治療期間が1か月以上のけがになる割合が高い傾向にある。

<年代別・性別の転倒件数>


<年代別 治療期間1か月以上のけがの割合>


<店内の床滑りによる事故>


 転倒事故の内訳では、雨天の日には店舗入口付近の濡れた床での転倒が多く、入口のマットが滑った事例やマットから床に足を踏み入れたときに濡れた床で滑った事例も起きている。

 水濡れの床での事故としては、鮮魚コーナー、冷凍ケース、製氷機、ウォーターサービスの周辺で、こぼれた水や氷で足を滑らせた事例が多くあり、清掃後の床が十分乾いておらず、足を滑らせた事例もある。

また、野菜くずや果物、飲み物、その他商品やその一部等の落下物を踏んで足を滑らせたり、ビニールや値札等を踏んで足を滑らせた事例もある。

店の入口付近の段差、トイレ前の床段差、マットの縁、放置された荷物用台車、狭い通路の棚、床置きの商品箱につまずいて多くの人が転倒している。

日時 平成13年7月
被告 コンビニエンスストア
内容 コンビニが床掃除をしたあと乾拭きをしなかった。床に水分がわずかに残っていたことに、当時22歳の女性客が気づかず滑って転んで左腕に大ケガをしたとして。
損害賠償 約1000万
判決  床が濡れていた程度は見ただけではわからず手で触れてわかる程度の濡れ方だったため、通常の速度で歩いて転倒したのは水拭き掃除が事故の原因である。
店舗は、年齢、性別、職業等が異なる不特定多数の顧客に対して、安全を図る義務がある。
 床材は、コンビニ全店における統一規格の特注品であり、従業員に対し顧客が滑って転んだりすることのないように床の状態を保つよう、指導する義務があったされた。
 もっとも本事案では、女性客は靴底が減って滑りやすい靴を履いていたこと、パンと牛乳を持って両手がふさがった状態であったことなどから、客側の状態が損害の発生及び拡大に寄与したとして5割の過失相殺とされた。

滑らない床にするのは、とてもカンタン 

 滑り止めを施すのは誰でもできます。

 溶剤を塗布して水を流し洗浄で仕上げする。特別な知識は必要ありません。「塗れば止まる」からです。それでいいんじゃない?とお思いでしょうが、人間がもつ感性や美意識がそうさせません。

問題は

  • ①美観を“高レベル”で維持できるか?
  • ②防滑効果を維持できるか?

 問題は、床材の美観を残しながら滑り止めを施すこと。それは床材の種類や仕上げ、環境などさまざまな要素によって難易度が変わります。滑らない床にするのはカンタンと言いましたが、「美観を損ねれば」という前提です。

  そして、美観(光沢や色合い)の維持にもレベルがあります。

 当社は美観維持率を95%以上と設定していますが、それをすべての床材で実現するのは、カンタンではありません

 さらに、コーティングの種類によっても難易度は大きく変わります。例えば、シリコーン樹脂系コーティング済タイルは、市場に出回る溶剤の強弱調整では、まったく刃が立ちません。このように、防滑では100現場100様の世界が広がっているのです。

リーガロイヤルホテル(大阪)浴場

リーガロイヤルホテル(大阪)浴場

メンテナンスマニュアルで、10年以上も安全をキープ

 弊社は施工が終わると防滑効果を長く維持してもらうために、必ずメンテナンスマニュアルを提出してきました。平成11年から始めましたね。各現場に応じたメンテナンスのやり方があると思うからです。

リーガロイヤルホテル様にも提出してました。おそらくはキッチリ実施してくれていたと思います。10年以上もメンテナンスちゃんとやってくれて感謝してました。実は弊社の滑り止め溶剤「スリップアウト」を定期的に使用し、10年以上も安全をキープしてくれていたのです。

ホテルの方針変更による責任者の苦悩

 2回目の施工で久しぶりに責任者O氏と再会。今回の施工に至った経緯について説明を受けある意味で納得しました。ホテル上層部(方針変更)の決定に従うしかなかったというのです。

 O氏と共に浴場へ・・・現場を見て我が目を疑いましたよ。タイルが鈍く光を放っているではありませんか。浴場のヘリやタイル面の隅々に白いスケールが点在しています。

上層部の指示っていうのは次のとおり

  • ホテル内で使用する洗剤についてはホテルが採用決定したものに限定する
  • 業者による定期清掃は中止し、替わって日常的にスタッフが清掃を担当、実施すること

 コスト削減と安心安全なものを使うという考え方だったのでしょうが、残念ながらそれでは現場は守れないのです。何故守れないのか・・・その説明は施工終了の後で記したいと思います。

蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態に

浴場施工については弊社独自の手法があります。手順は次のとおり。

特殊溶剤塗布(一般に販売していないSPレベルの溶剤です)二次溶剤塗布(特殊溶剤に重ね塗りしていきます)中和洗浄(弊社のアルカリ洗剤使用。今回はpH11.7レベルにして使用)シャワー(温水)を使用し洗い流す

体脂でヌルヌルのタイル

以上の手順で施工後、床面をチェックすると、床面がタイル内部から蓄積された体脂が溢れ出てヌルヌルの状態となりました

プチ解説:なぜ体脂がタイルから溢れ出たのか?

 原因はホテル方針変更によりこの2年間使ってきた洗剤の能力が低く、日々の体脂肪の除去がまったくできていなかったのです

 スタッフは毎日ポリッシャーがけを実施しておりました。そこでホテルが支給していたアルカリ洗剤を調べてみると、米国メーカーでpH10の洗剤で、スタッフは販売会社の指導でその洗剤を10倍希釈して使っていたようです
実質使用していた洗剤はpH値は9となりますが、このレベルでは体脂肪(動植物性油脂)には歯が立ちません

防滑効果を維持させるため、体脂除去からスタート

アルカリ洗浄作業

床内の体指がこれだけ飛び出してくるってことは、まだまだ床内に留まっている答えです。通常はヌルヌルの脂肪を中和洗浄すれば滑りは止まりますが、床内の脂肪成分を出来る限り除去しておかないと防滑機能が長続きしないと判断。

やれるだけやりましょうか。

施工総面積約65㎡
やるだけのことはやりました。施工中に作業者の一人に別途指示を出していました。それは床面に点在するスケール除去です。私が最終チェック。まぁ完璧ではないけれど、目立たない程度にはなっていたので良しとしました。

脂(油)というのは、必ず酸化します。しかも2年間床内部で酸化を続けた体脂肪ですから恐らくはpH6レベルまで酸化が進んでいると考えられます。アルカリ性洗剤を使用理由は、脂肪を中和分解するのが目的のはずです。pH9レベルでは、ハッキリ言って”屁”の役にもたちませんがな。

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かぼちゃの天ぷら。この後スタッフが美味しくいただきました(2020年12月9日/弁護士ドットコム撮影)

 首都圏で展開しているスーパー「サミット」の店舗で、床に落ちていた天ぷらを踏んで転倒し、ケガをしたとして、30代の男性客が、同社に対し約140万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は12月8日、同社が安全管理を怠ったと認めて、約57万円の支払いを命じた。 

 報道によると、男性は2018年4月、サミットストア練馬春日町店(東京都練馬区)で、レジ付近に落ちていたカボチャの天ぷらで足を滑らせて転倒し、ひざを負傷した。 東京地裁は、天ぷらを落としたのは、従業員ではなく、利用客によるものだったとしたうえで、消費者庁のデータを基づいて「想定外の事態とはいえない」と指摘。店側が安全確認の徹底などで「物が落下した状況が生じないようにすべき義務を尽くさなかった」と判断した。 

 一方、天ぷらの大きさからして、男性も容易に天ぷらの存在に気づくことができたにもかかわらず、足元の注意を怠った過失があったとして、賠償額を減らしたという。 店側にとっては厳しい判決となったが、どこまで安全管理についての義務を負わなければならないのだろうか。

田沢剛弁護士に聞いた。

 ●店側には来店客がケガを負わないよう注意すべき義務がある ――

 店側の安全管理に関する義務違反が認められましたが、通常、店側は具体的にどのような義務を負っているのでしょうか。 民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」として、不法行為責任を定めています。 これは、加害者と被害者との間の契約関係の有無を問わずに規律する一般的な責任ですから、不特定多数の利用客が出入りするスーパーも、この責任を免除されるわけではなく、利用客の権利または法律上保護される利益を侵害しないよう注意すべき義務があるということになります。 他方で、安全配慮義務違反というものがあります。これは、一般的に雇用主と従業員との間の雇用関係などに基づいて生じる契約責任の問題であって、上記の不法行為責任とは異なります。 どちらも損害賠償責任という点では同じですが、立証責任や消滅時効の期間などで違いが生じます。 ――今回のケースはどちらでしょうか。 今回の判決は、報道の限りでは「安全管理を怠った」とされており、「安全配慮義務を怠った」とはされていませんので、安全配慮義務違反を認めたものと解するのは早計であり、一般の不法行為責任を認めたに過ぎないものと推測されます。 不特定多数の利用客がスーパーに入店することで、直ちにスーパーに対して利用客に対する安全配慮義務を課すほどの契約関係が生じると解釈するのは困難だからです。 

 義務違反となるか否かのポイントはどこにありますか。 今回のケースは、スーパーの利用客が落とした天ぷらを別の利用客が踏んで転倒し、ケガをしたというものです。 通常であれば、スーパー側の過失(注意義務違反)については、落ちている天ぷらをしばらく放置したという点に求めることになるでしょうが、その場合は「放置した」といえるか否かを解明する必要があるでしょう。

 ●「どこまで注意義務を負うのか」は、実際の事故件数なども影響 

――落下した直後の転倒などは、常時監視していても防ぎようがないように思われますが、そのような場合にまで義務違反が認められてしまうのでしょうか。 常時監視していたのに防げないような落とした直後の転倒を防ぐためには、そもそも利用客が落とさないような仕組みを考えるほかないと思いますが、常時監視も含めてそこまでの注意義務をスーパーに負わせることは行き過ぎという気もしますし、一方で、超高齢社会といった時代を背景に、そこまでの注意義務を負わせても問題ないといった考え方も出てくるでしょう。

 ――ネットでは「店が悪いのか?」「客が落としたものにまで責任を負うのか」などの意見が見られます。 買い物をする高齢者の割合が増加し、実際にも転倒事故が増えているということであれば、スーパー側にこれを防ぐための注意義務を課すということは、あながち不自然なことではありません。 不法行為責任の要件である過失の前提となる注意義務は、法律の明文に規定されているものだけでなく、社会生活上の諸般の事情を根拠として導かれるものも多々あります。 後者の場合は過失の有無をめぐって争いの種になりますので、最終的には司法の判断を待つしかありません。 ――店側としては、今後どのような対応が求められるのでしょうか。 今回の判決がいわゆる先例として定着するかどうかは不明ですが、もしも定着したら、スーパーとしては、お惣菜売り場に監視員を常駐させるというところまではいかないにしても、定期的に天ぷらが落ちているか否かを確認することくらいは検討する必要が出てくるように思います。

 飲食店の入っているビルやスーパーなどで何気なく歩いていたところ、床が濡れていて滑ったことなどが原因となって転倒した場合、施設管理者に対して、責任追及を行うことができる可能性があります。
 建物の設置管理者の責任としては、民法717条第1項に定めがあり、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。」とされています。そのほか、安全配慮義務違反として、債務不履行責任を負うことがあります。
 ここでいう「瑕疵」とは、通常有すべき安全性とされ、どんな場合でも事故が生じてはいけないというような、極めて高度なものとまではいえません。このため、施設管理者は「通常の使用を前提として安全性が確保されている」といえる程度の管理を行う義務があり(最判昭和45年8月20日)、これに違反していると、責任追及を受ける可能性があります。
 近年、このような考え方がある程度社会に浸透していることもあって、設備や管理に問題があって転倒して怪我をした場合、その責任追及をしたい、という相談があります。確かに施設管理の責任はあるため、店舗などで転倒事故が発生した場合、きちんと謝罪を行って、補償の話を行うこともあり得ます。
しかしながら、だからといって、単純に転倒した=責任追及が可能であり、高額な請求ができる、という図式にはなりません。
といいますのも、施設管理者の設置管理に瑕疵があったことは転倒者が証明しなければなりません。また、それによって転倒したこと、怪我の治療が必要になって具体的にどのような治療を受け、それによっていくらを支払った、ということも転倒者が証明しなければなりません。さらに、その請求金額はあくまで「損害」であり、賠償によって高額な利益が得られるものともいえないのです。
加えて、他の利用者が普通に歩行していたような場合、転倒者の不注意によって転倒したとも判断されかねず、この場合には過失相殺を受け、請求金額が減額される可能性があります。
このようなことを考えますと、相当な負担が生じますので、怪我が軽微な場合には、どこまでの請求を行うのかは、慎重に検討しなければなりません。
 他の事件でも同じなのですが、仮に請求を行う場合には、いろいろなことを調査し、資料を揃えていく必要がありますので、転倒事故での賠償請求をお考えされるような場合には、まずは弁護士に直接相談されることをお勧めします。この場合、自動車保険で附帯している弁護士費用特約が利用できる可能性もありますので、確認されてみてもいいでしょう。
施設の管理をされる者におかれては、施設内を安全に保つことも重要ですが、転倒者が感情的になることで争いが重大かすることも多いため、転倒者が出たような場合、頭から請求を否定するのではなく、まずは真摯に話を聞いて対応し、それでも問題が解決しないようなら、法的手続を検討されるといいでしょう。弁護士に交渉を依頼していただくことも有用です。
当事務所では、このような案件も扱っておりますので、転倒者側、施設管理者側、いずれの場合でも、お困りになられましたら、いつでもご相談ください。

1 今回の判例  店内での転倒事故と店舗側の責任

東京高裁平成26年3月13日判決

 57歳の女性客AがB銀行のATM利用後、外に出ようとして店舗出入口に敷かれた足ふきマットに足を載せた途端、マットの端がまくれ上がって転倒し、後遺障害が残る傷害を負いました。

 そこで、AがB銀行に対し、不法行為による損害賠償請求訴訟を提起しました。

 第1審判決は、マットの裏が濡れていたことは認めつつも、専らAの不注意によってマットが滑り事故が発生した可能性もあるとしてB銀行の責任を認めませんでした。これに対して、Aが控訴したのが本件です。

2 裁判所の判断

 裁判所は、以下の事情を考慮して、B銀行の責任を肯定しつつ、4割の過失相殺を認めました。

● B銀行には、顧客が出入口に敷かれていたマットの上を通常の態様で歩行するに当たって加えられる力により床面上を滑ることがないように整備しておくことが求められる。

● Aは急いで出入口に向かった様子もなく、マットの端から10〜20cmの所に足を乗せたところ、マットが横にずれたためバランスを崩し滑り込むような体勢となって転倒した。事故当時、マットの裏面は湿って波打った状態にあったことから、床面上を滑りやすい状態で敷かれていた点でB銀行には注意義務違反がある。

● ただ、Aももっと注意深く足を運び、身軽な状態であればマットがズレて盛り上がったとしても転倒しなくて済むか、転んでももっと軽いケガで済んだことも考えられ、4割の過失相殺を認めるべきである。

3 解説

(1)店舗における顧客の転倒事故についての責任

 店舗において顧客が転倒する事故が発生した場合、どこまでが顧客の自己責任で、どこからが店舗経営者の責任となるのでしょうか。

 この場合の店舗経営者の責任には、法律上は、「債務不履行責任」というものと「不法行為責任」というものの二種類が考えられますが、実質的な内容はほぼ同じです。すなわち、事故を予見し得たこと(予見可能性)と結果を回避する義務があってそれに違反したことの両方が肯定される場合に、責任が認められます。

 例えば、雨が降れば傘の雫や濡れた靴により床が濡れることが予見できるので、滑りやすい材質の床やマットはそもそも避ける必要があり、また床が滑りやすくなっていればモップで拭くなどの適切な対処をして事故を回避する義務が認められるという方向で考えられることになります。

 他方、そうした対処をしても、顧客が通常では想定できないような歩き方をしたために事故が発生したような場合には、顧客の自己責任として店側の責任が否定される方向で考えられることになります。

○「店舗出入口手前段差転倒鼻背部傷害事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介」の続きで、この判例と同様、民法第717条土地工作物管理瑕疵責任に関する判例紹介です。いずれも当事務所取扱事案に関連する参考判例です。

○被告が運営していたコンビニエンスストアの店舗内で原告が転倒し負傷した事故につき、原告が、本件店舗の床が雨や泥の影響で滑りやすかったにもかかわらず、被告がその防止措置や注意喚起をしなかったなどと主張し、工作物の占有者責任ないし安全配慮義務違反の債務不履行に基づき、逸失利益及び慰謝料等約6000万円の損害賠償を請求をしました。

○この請求に対し、本件店舗に使用された床材やタイルに不備はなく、本件事故当時、被告は本件店舗の出入口に2枚の床マットを設置して靴底の水分等をできるだけ除去するよう対策を講じていたこと等に照らして、転倒場所の床が雨天時に通常やむを得ず生じる程度の湿った状態を超えて滑りやすい状態にあったとは認められない上、雨天の影響により本件店舗の床が湿っていることにつき、来店客は一般にその可能性を認識しているのが通常であることも併せ考えれば本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたとは言えず、被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反した事実も認められない等判断して、原告の請求を棄却した平成23年1月27日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)を紹介します。

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主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。


事実及び理由
第1 請求

 被告は,原告に対し,金5961万5686円及びこれに対する平成18年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。


第2 事案の概要
 本件は,被告が運営していたコンビニエンスストア「SHOP99・a店」(以下「本件店舗」という。)の店内で原告が転倒し負傷したこと(以下「本件事故」という。)につき,原告が,本件店舗の床が雨や泥の影響で滑りやすかったにもかかわらず,被告がこれを防止するための措置や注意喚起をしなかった上に,店内通路に荷物を置き歩行を妨げるなどしたため本件事故が発生したと主張し,工作物の占有者責任(民法717条1項)ないし安全配慮義務違反の債務不履行(同法415条)に基づき,逸失利益及び慰謝料等の損害賠償を請求している事案である。


1 争いのない事実等
(1) 原告(1957年○月○日生)は,b航空の客室乗務員として稼働している者である(甲22)。
(2) 被告は,生鮮食料品の販売等を目的とする株式会社であり,平成18年10月1日当時,「SHOP99」の屋号で食料品や日用雑貨を販売し,名古屋市〈以下省略〉所在の本件店舗を運営していたものである。
(3) 平成18年10月1日夕方,同伴者の女性とともに本件店舗を訪れた原告が,店内のパンコーナーと食品コーナーの間の通路を通行中に転倒する本件事故が発生した。
(4) 原告は,本件事故の発生後,救急搬送された名古屋市内所在の医療法人吉田病院においてB医師の診察を受け,帰国後はグアム所在のCMIファミリーメディカルセンターにおいてC医師の診察を受けた(甲4,5)。
(5) 本件事故の発生当時ころ,本件店舗付近は雨天であった(甲8)。


2 争点
(1) 設置又は保存の瑕疵及び安全配慮義務違反の有無

(原告の主張)
ア 本件店舗の床に使用されているPタイルは,他の床材と比べて水濡れ等で滑りやすいもので転倒事故を招く危険が指摘されており,設置にあたっては水や砂塵の持込みを抑え,持ち込まれた場合は直ちに除去するよう管理すべきことが指摘されている。そして,現に本件事故が発生していることや,水滴及び粉体がある状況下においてPタイルのC.S.R.値(滑り抵抗係数)が転倒の危険のある下限値に近い0.46ないし0.47を示していること,実際の靴の素材や歩行条件等によってはさらに滑りやすくなると考えられることからすると,Pタイル自体が転倒事故を招来する危険性があったといえる。

イ 本件事故当日の午後,本件店舗付近は雨天であったが,本件店舗の入口には足拭きマットが置かれておらず,店内の床が濡れており転倒の危険性が高い状況にあった。それにもかかわらず,本件店舗では,濡れた床をモップ掛けする店員もおらず,目視で店舗の床が濡れているのに気付くまでは床を拭くことなく濡れたままとなっているのを許容していた。

ウ また,床が濡れていることの警告を表示していれば,不特定多数の来店客に対し,より慎重な歩行を促して転倒の危険性を低減できたにもかかわらず,本件店舗には,来店客に対して床が濡れていることを警告する表示がなかった。

エ 本件店舗では,転倒場所となった通路に商品箱等の荷物を放置して,来店客が不自然な状況ないし無理な体勢での歩行を余儀なくされる状況を作出しており,床が濡れていたことと相俟って転倒の危険性を高めた。

オ 本件店舗は,不特定多数の来店客に場所を提供して商品を選択,購入させて利益を得ることを目的とした屋内の営利施設で,床の滑りやすさという危険性を排除するために必要な措置をとることは十分に可能であり,かつ,その利益から適切な費用を支出して各種措置を講じることが求められ,被告に課せられる安全管理義務の程度は高いものといえる。

カ 以上によれば,被告は,来店客が安全に買い物をできるように配慮すべき注意義務に違反していたため,本件店舗には通常備えるべき安全性が欠如しており,原告は,濡れた床に足を滑らせて転倒したものというべきである。

(被告の主張)
ア 本件店舗の床材は,コンビニエンスストアをはじめ多くの商業施設等で広く一般的に使用されているPタイルであり,水及び粉体を散布した状態でのC.S.R.値が0.46ないし0.47と,歩行に重点を置いた場合のC.S.R.値の許容範囲である0.40〜0.80に照らして,特に滑りやすい性状のものではない。

イ 本件事故当時の雨量は,1時間に1mm降るか降らないかという程度の小雨にすぎなかった上に,本件店舗の入口には外と内に合計2枚の床マットが置かれていたし,転倒場所となった通路も来店客が頻繁に通る部分ではなく,水滴が生じうる冷蔵ケースの付近でもない。また,転倒した原告に駆け寄った被告従業員のD(以下「D」という。)も床が濡れていたとの認識はなく,原告及び同伴者からも何ら指摘がなかった。よって,転倒場所の床が濡れて危険な状態になかったことは明らかである。

ウ 本件事故当時,本件店舗には床が滑りやすいことを示す警告板を設置していなかったが,警告板は,一般客が普通は知り得ない事情(ペンキ塗りたて,水拭き清掃など)があるから設置されるのであり,雨天で床がある程度濡れていることは来店客が一般に知りうることで,あえて警告しなければならないものではない。
 また,被告では,本件店舗の入口に靴底を拭くための前記2枚の床マットを敷いていたほか,傘立てを設置して濡れた傘が店内に持ち込まれないよう対策を講じ,床のPタイルは適宜従業員がモップで乾拭きしていた。

エ 本件事故当時,転倒場所の通路には,陳列用の箱や段ボール等が置かれていたが,歩行を困難にする程度ではなく,箱等は片側に寄せて通路を確保することが心掛けられており,台車等の転倒が懸念される危険な物も置かれていなかった。

オ 以上のように,本件事故につき被告には何らの責任もない。原告は,店舗内で転倒したから店舗側に責任があるとの,民法その他日本の法令が予定していない考え方に基づいて本件訴訟を提起している。なお,本件店舗に来店しただけでは,原告と被告との間に何らかの契約関係を認めることはできないから,安全配慮義務違反の債務不履行の主張は理由がない。


(2) 損害額
(原告の主張)
ア 原告は,本件事故により下腿後面等の筋肉群等の軟組織の断裂・損傷,浮腫ないし内出血,椎間板狭窄,既往症である脊椎の変性椎間板の状態悪化,既往症である右足首等関節の浮腫,骨盤不整列等の傷害を負い,継続した痛みや運動制限による苦痛を被り,客室乗務員としての勤務にも支障が生じた。
 本件事故以前の交通事故等による原告の後遺障害は12級相当であったが,本件事故後の原告の後遺障害等級は6級相当である。

イ 逸失利益 3839万6079円
 慰謝料 1580万0000円
 弁護士費用 541万9607円
 合計 5961万5686円

(被告の主張)
 争う。
 原告は,現在も航空会社で客室乗務員として勤務しており,6級相当の後遺障害を負っているということはあり得ないし,本訴提起後に症状の認定が大幅に変更された理由や症状が固定した時期は,未だ明らかでない。
 仮に,原告が何らかの後遺障害を負った状況にあるとしても,原告は,本件事故以前に交通事故に遭って足首を負傷しており,現在の症状は本件事故というよりは既存の状態が原因となった可能性のほうが大きいと診断されているほか,本件事故後にも空港で怪我を負ったようであり,本件事故以外の原因により症状が悪化した可能性もあるから,本件事故と損害との因果関係は何ら立証されていない。


第3 争点に対する判断
1 争点(1)について

(1) 前記争いのない事実等及び証拠(甲3,8,19,22,31,乙1,2の1ないし2の3,3ないし5,7の1・3,8,9の1ないし9の4,10ないし13,証人D)並びに弁論の全趣旨によれば,本件店舗の床に使用されているPタイルは,日東紡績株式会社製のコンポジション系ビニル床タイルであるポトマックPKN(以下「本件床材」という。)が使用されていること,本件床材は,コンビニエンスストア等の商業施設で一般的に使用されているものであり,本件店舗の床には平成16年の開店時に貼られたこと,平成22年4月に本件店舗の床から切り取られた本件床材は,品質性能試験の結果,C.S.R.値が乾燥状態で0.93,湿潤状態で0.88ないし0.86,水及び粉体を散布した状態で0.46ないし0.47であったこと,事務所等一般建築物の床の滑りの評価指標として,C.S.R.値の最適範囲は0.55ないし0.70,歩行に重点を置く場合の許容範囲例は0.40ないし0.80とされていること,本件事故が発生した通路は,本件店舗の出入口から見て右から2番目の幅約120cmの通路で,転倒場所は,同通路を出入口側から約5m入った位置にあり,両側がパンの陳列棚と調味料やレトルト食品等の陳列棚となっていて,本件事故当時,商品が入ったプラスチックケースが通路の約3分の1程度を塞ぐ形で床に置かれていたが,床のPタイル自体に損傷や顕著な劣化は見られなかったこと,本件店舗では,平成22年6月1日に被告の直営店からフランチャイズ店に変更されるまで,出入口の外側に1枚,内側に1枚の合計2枚の床マットが設置され,月2回の交換・洗浄が行われていたこと,本件事故当時,名古屋市では1時間に0.5mmないし2mmの降水量が観測されたことがそれぞれ認められる。

(2)
ア 以上の認定事実を総合すると,本件店舗に使用された本件床材は,水や砂塵の持込みを前提に測定したC.S.R.値に照らして,来店客が店内を歩行する場合に特段滑りやすい性質のものではなく,商業施設等で一般的に採用されているもので,本件床材が他の床材に比べて転倒事故の危険性が高いものであるとは認められないから,これを採用したこと自体をもって本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとはいえないし,本件店舗のPタイルは,本件事故の時点で新規設置から3年程度しか経過していないものであり,本件事故現場の床の状況を見ても,経年劣化が進んでいたとか管理・保存状態に不備があったとも認められない。

イ また,前記認定事実によれば,
本件事故当時,本件店舗内の通路には,降雨の影響により来店客の靴底や傘等から水分が持ち込まれていたことが推認できるが,被告が本件店舗の出入口に2枚の床マットを設置して靴底の水分及び砂塵等をできるだけ除去するように対策を講じていたこと,転倒場所付近に陳列された商品や陳列棚から水滴や液体が床に落ちることは想定できないこと,本件事故当時,転倒場所に水たまりができていたとか泥で汚れていたという状況はなかった旨を証人Dが証言していることに照らしてみると,本件事故当時,転倒場所の床が,雨天時に通常やむを得ず生じる程度の湿った状態を超えて,水や泥で滑りやすい状態にあったものとはにわかに認められないというべきである。そして,本件事故当時,雨天の影響により本件店舗の床が湿っていることは,来店客にとって予期し得ない事態ではなく,一般にその可能性を認識しているのが通常であることも併せ考えれば,転倒場所の床は,乾燥時に比べれば若干の滑りやすさはあるものの,来店客が通常の注意力をもって歩行しても転倒する危険性があるほど滑りやすい状態にあったものとは認められず,転倒場所の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとは認められないというべきである。

ウ さらに,これら認定説示に照らせば,本件事故当時,本件店舗の床が滑りやすく転倒の危険性が高い旨を来店客に警告すべき状況にあったものとはいえず,これをしないことが被告の注意義務違反にあたるとは認められない。

エ 前記認定事実によれば,本件事故当時,転倒場所付近の通路は,約3分の1程度の幅が商品の入ったプラスチックケースで塞がれた状態にあったことが認められるが,これを考慮しても,同通路は,人が通常の姿勢のまま歩行できる幅員が十分に確保されていたものと認められ,来店客に不自然な姿勢や無理な体勢を強いて転倒の危険性を高めるような状況にはなかったものというべきである。

オ その他,本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたことや被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反したことを認めるに足りる証拠はない。

(3) そうすると,本件事故当時,本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとは認められず,その設置又は保存に瑕疵は認められないというべきであるし,被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反した事実も認められないというべきであり,原告の主張は採用できない。

2 以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
 (裁判官 小崎賢司)

事故概要

スーパーマーケット(以下「本件店舗」という)を訪れた客が、店舗内の床の管理が不十分で、床が濡れていたために店舗内で転倒し傷害を負った 

この事故の事故パターン

 

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  濡れ  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 

事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 その他室内  
建築部位 平坦な床  
障害程度   
事故にあった方 年齢 38歳 
性別 女性 

判例の詳細

責任の所在
店舗建物を管理している会社の工作物責任を否定 清掃を怠ったとする従業員の責任を前提とする店長(使用者)の責任を否定
瑕疵・過失の有無
瑕疵、過失いずれも無                                                                    

判例の解説

裁判所の判断
裁判所は、概ね以下のように述べて、工作物責任使用者責任のいずれについても理由がないとして、原告の請求を棄却した。

① 本件店舗の床はそれ自体として特段危険性を有するものではなく、床に水濡れが生じたとしても直ちに危険となるものではないが、床の一部分についてのみ大きな水濡れが生じ、周辺と大きな滑り抵抗値の差が生じた場合には、一応転倒の原因ともなりうる状況にあったものというべきである。

② 床の清掃状況、当日は冬であり、また降雨の有無はともかく雨天気味で湿気は相当にあったと考えられ、床に水分があった際に乾燥するまで時間がかかると考えられる状況にあったこと等の事情が認められ、これらによれば、本件当日に転倒現場付近で開店前の水モップ拭きが行われた可能性は必ずしも否定されないが、大量の水が転倒現場付近にばらまかれるような事象が起きた形跡は特段ない。

③ 開店時間前後において本件店舗付近、あるいは原告宅から本件店舗までの道のりにおいて強い雨が降っていたと考えることはできず、原告の衣服等から多量の水が床に落ちたと考えられるわけでもないのであって、転倒当時の床の状況としては、床が多少水分を帯びていた状況自体はあったとしても、それを越えて、床の上に水が浮いているような状況であったとは考えられない。

④ このような床の状況を前提とすると、元々本件店舗の床材は転倒事故を起こしやすいようなものではなく、また転倒現場付近の床は若干水分を含んでいたという程度の状況にとどまるものであったと考えられ、滑り抵抗が常に転倒の危険を生じるほどに低下していたり、あるいは床の他の部分と極端な滑り抵抗の差が生じるような状況にあったとは認められない。

⑤ 本件店舗において他に転倒事故が発生していた形跡が全くないことにも照らすと、転倒現場付近の床が一般的に転倒を誘発するような危険な状況にあったとはいえない。

⑥ 以上からすれば、本件店舗の床の管理について瑕疵があったとは認められず、また被告従業員において床の管理に関する注意義務違反があったとも認められない。

本判決のポイント
建物等の瑕疵に基づく工作物責任や安全配慮義務違反に基づく責任の有無につき、建物や設備が法令に従いかつ性能的に十分な安全性を確保しているかを問うている点や、ほかに同様の事故が生じていたか否かを上記責任の有無のひとつの判断材料としていることが参考となる。

事件番号・判例時報 平成21年(ワ)第850号
2113号119頁 
裁判年月日 平成22年12月22日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 名古屋地裁岡崎支部 
判示 棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 38歳女性(当日の服装は、下はジーンズ、上はパーカー、バックを持ちスニーカーを履いていた) 
天候等の状況 事故当日の朝は小雨が降っていたが、事故が発生した時間帯は降水量ゼロであった。ただし地面は濡れていた。 

【結 論】 床掃除の後処理が不十分だったとき、コンビニを統括する本部に対して賠償請求できる。(大高H13.7.31)

 道路上の事故ならば当然に110番通報するでしょうが、商業店舗内での事故は通報することが少ないと思われます。事故の内容も客が自分で転んだ、客同士の衝突、陳列商品にぶつかったなど色々ありますが、事故の状況を把握するため警察への通報は必要と思われます。
 本事案は、コンビニが床掃除をしたあと乾拭きをしなかった。床に水分がわずかに残っていたことに、当時22歳の女性客が気づかず、滑って転んで左腕に大ケガをした。そこでコンビニを統括する本部に、1000万円以上の賠償請求をしたものです。

 コンビニ側は、事故は専ら客の不注意によるものである、床材は滑りやすい性質のものではない、掃除のあと残った水分を拭き取る義務はないと主張しました。原審の大阪地裁はこの主張を認め、客の自招事故であるとして訴えを棄却しました。

 これに対して大阪高裁は、客の賠償請求を認めて約210万円(ただし客にも5割の過失があったとして105万円)を、コンビニ運営本部に支払うよう命じました。
 高裁は、床が濡れていた程度は見ただけではわからず手で触れてわかる程度の濡れ方だったため、通常の速度で歩いて転倒したのは水拭き掃除が事故の原因である。店舗は、年齢、性別、職業等が異なる不特定多数の顧客に対して、安全を図る義務がある。
 床材は、コンビニ全店における統一規格の特注品であり、従業員に対し顧客が滑って転んだりすることのないように床の状態を保つよう、指導する義務があったとしました。
 もっとも本事案では、女性客は靴底が減って滑りやすい靴を履いていたこと、パンと牛乳を持って両手がふさがった状態であったことなどから、客側の状態が損害の発生及び拡大に寄与したとして5割の過失相殺(原因の半分は客側にあった)を認めました。

 最近アウトレットモールや、家具を扱っている大規模店舗があちこちに見られます。とくに注意すべきは、店内を走り回るカートや混雑時に人と人が交差する動線です。カートの事故や客同士の衝突などは、過失傷害罪など刑事上の事件に発展しかねないケースもあります。
 このような事故が起きたとき、店舗側がどの程度積極的に事件や事故に対応してくれるかといえば、はなはだ心許ないというのが実感です。本事案のように、明らかに店舗のメンテナンスに問題があった場合は別ですが、商品展示のしかたや人の動線計画に問題があったとしても、全く責任を感じず、客同士の問題にすり替えてしまう店も多いようです。
 冒頭にも述べましたが、事件か事故が区別がつかないときは110番通報をする、保険に個人損賠賠償責任特約をつけておくといった用心がますます大切になってきています。

 以前住んでいたマンションのロビーからエントランス付近で鏡面加工した大理石の上を踏んだら、すごい勢いで滑って転倒した。かなり強い打撲傷を作ってしまい、数週間にわたり湿布をしていた。後日、マンションの理事会でこの話をしたら、ほとんどの理事が「自分も・・」と異口同音に同じような経験をしていた事がわかった。

この事故の事故パターン

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  すべる床材  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 
 

事故概要詳細

情報ソース インターネット調査(画像無し) 
建物用途 集合住宅の共有部等  
場所 出入り口 廊下・ホール  
建築部位 平坦な床  
障害程度 軽度のケガ  
事故にあった方 年齢 51歳 
性別 女性 

 マンションの理事会で住人様の安全安心に生活出来るように、ロビーやエントランスの床の滑り止め施工を提案しましょう。

雨の日の転倒

事故、ヒヤリ・ハット事例

  • 雨が降っていた、濡れた道。タイルの道で、傾斜があり、普通のスニーカーのような靴で滑ってしまった。晴れている日はなんともない道だったので、濡れると滑るようだ。(30代男性)
  • 外は雨が降っていたので、入った建物の床や階段が水で濡れ、足を取られ転びそうになった。(20代男性)
  • 雨よけカバーをベビーカーに着けて道を歩いていたら、風にあおられてカバーが取れてしまい、そのまま風を受けてベビーカーが倒れそうになった。(30代女性)
  • 雨の降っている日に、杖を持ち駅の構内を歩いていたら杖の先が滑って転倒した。(40代女性)

  事故を防ぐポイント

  • マンホール、道路の白線、タイルの歩道等に注意!
    雨で濡れると滑りやすくなる場所があります。滑って転ぶと、打撲・骨折等、思わぬ大ケガに結びつく場合があります。
  • 建物の中でも、濡れた床に注意!
    駅、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも濡れた床が滑りやすくなっている場合があります。
  • ベビーカーでの外出は慎重に!雨風が強いときは、雨よけカバーが風であおられる・傘を差しているため操作しづらい等の危険があります。雨の日のベビーカーの使用はなるべく控えましょう。やむを得ず使用する場合は、十分に注意しましょう。
  • 杖の使用も慎重に!
    杖の先端のゴムは、接地面が小さいため、靴底などよりも滑りやすいです。また、ゴムが摩耗してくると危険性が高まりますので、早めに交換しましょう。

【参考】

事故概要

被告が経営するスーパーマーケットを顧客として訪れた原告が、店舗内の床の管理が不十分で、床が濡れていたために店舗内で転倒し傷害を負った 

この事故の事故パターン

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  濡れ  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 
 

事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 廊下・ホール  
建築部位 平坦な床  
障害程度 軽度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
責任なし
瑕疵・過失の有無
瑕疵・過失なし
(理由)
・床の材質(床材は「コーデラ」という材質)からすれば、本件店舗の床はそれ自体として特段危険性を有するものではなく、床に水濡れが生じたとしても直ちに危険となるものではないこと
・大量の水が転倒現場付近にばらまかれるような事象が起きた形跡は特段ないこと
・本件店舗付近や原告宅から本件店舗までの道のりにおいて強い雨が降っていたと考えることはできず、原告の衣服等から多量の水が床に落ちたと考えられるわけでもないこと
・本件店舗において他に転倒事故が発生していた形跡が全くないこと

過失相殺

損害賠償の範囲

判例の解説

事案の概要
被告が経営するスーパーマーケットを顧客として訪れた原告が、店舗内の床の管理が不十分で、床が濡れていたために店舗内で転倒し傷害を負ったとして、被告に対し、①建物の管理について瑕疵があったとして民法717条に基づき、また②被告の従業員において、床を濡らしたままにしないよう水分を拭く等の注意義務があったのに従業員らがこれを怠ったものであるとして民法715条に基づき、治療費等の損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
1 本件店舗の床の材質(床材は「コーデラ」という材質)からすれば、本件店舗の床はそれ自体として特段危険性を有するものではなく、床に水濡れが生じたとしても直ちに危険となるものではない。

2 床の一部分についてのみ大きな水濡れが生じ、周辺と大きな滑り抵抗値の差が生じた場合には、一応転倒の原因ともなりうる状況にあったものというべきであるが、当日の開店前に若干の水分が転倒現場付近に残っていた可能性は必ずしも否定されないにせよ、大量の水が転倒現場付近にばらまかれるような事象が起きた形跡は特段ないことなどからすれば、転倒当時の床の状況としては床の上に水が浮いているような状況であったとは考えられない。

3 したがって、元々本件店舗の床材は転倒事故を起こしやすいようなものではないこと、転倒現場付近の床は若干水分を含んでいたという程度の状況にとどまり、滑り抵抗が常に転倒の危険を生じるほどに低下していたり、床の他の部分と極端な滑り抵抗の差が生じるような状況にあったとは認められないこと、本件店舗において他に転倒事故が発生していた形跡が全くないことからすれば、転倒現場付近の床が一般的に転倒を誘発するような危険な状況にあったとはいえない。よって、本件店舗の床の管理について瑕疵があったとは認められず、また被告従業員において床の管理に関する注意義務違反があったとも認められない。

本判決のポイント
設備等の材質や同様の被害状況の有無等から当該工作物の設置保存の瑕疵の有無を検討している点が参考になる。

事件番号・判例時報 平成21年(ワ)第850号 
裁判年月日 平成22年12月22日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 名古屋地方裁判所岡崎支部 
判示  

 消費者庁には、子どもが雨でぬれた道路や階段などで滑って転倒しけがをしたとの事故情報が、医療機関(※)から寄せられています。

「ぬれた排水溝の蓋の網の部分で滑って、後ろ向きに転倒。後頭部をぶつけ、3針縫うけが。」(3歳)

「雨で外階段がぬれていたため、滑って10段ほど前のめりに転落し、左手首を骨折。」(8歳)

雨の日は道路や階段、店舗等の床などがぬれて、滑りやすくなっています。階段での転倒は重大な事故につながるおそれがあるため、特に注意が必要です。また、段差や傾斜のある場所も危険です。子どもにはぬれた道路や階段、床の上では気を付けて歩くよう、声を掛けましょう。

(※)消費者庁は国民生活センターと共同で、医療機関(平成30年5月時点で24機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業。平成22年12月から運用開始)。

身近な危険箇所

 街の中にはすべり易い場所が意外と潜んでいます。 雨降りなどで床が濡れると、そこは、凶器にもなり得ます。

危険な場所の例

案内表示

 駅構内で見つけた案内表示のタイル素材です。そのものも滑りますが、最もやってはいけないことがあります。
それは、床面の一部にすべり抵抗係数の違う(他の箇所よりも滑りやすい)タイルを使用することです。
そこまで歩いてきた感覚でこのタイルに踏み込んだ瞬間にツルッと滑ります。

駅の階段

 タイルにゴムが埋め込まれていますので、新品の状態では滑りませんが、磨耗してしまいますと大変危険です。
段鼻のすべり止めゴムの劣化なども著しくなりますと改修が必要になります。

はがれた滑り止めテープ

 すべり易い箇所に張られたヤスリ状のテープです。
その後、施設管理者が代わりご覧のような状態になってしまいました。危険な上に美観も損ねています。

歩道上のマンホール

 車道のマンホールで2輪車が転倒するのはよく聞く話ですが、歩道上にあるマンホールでも歩行者の転倒事故は絶えません。
降雨時は細心の注意が必要です。

歩道上のグレーチング

 マンホール同様に注意が必要です。
ひとたび雨が降れば凶器になります。特に女性のハイヒールは危険ですのでご注意下さい。

磨り減った御影石

 何気ない石張りの歩道です。完成当時は景観も良く大変喜ばれましたが、経年変化により表面が磨り減っています。
雨の日に注意が必要な床材の1つです。

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