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はじめに

  滑ったり、つまずくことは、仕事中に起きる主要な事故の最も一般的な原因である。これによる業界における損失は、毎年5億1千200万ポンドにのぼり、これらには莫大な人件費や負傷者の苦痛などは含まれていない。

  負傷が原因で訴訟になれば、その商売にとって、とてつもない損害となり、とりわけお客が関係した場合はなおさらである。保険はすべての訴訟費用の、わずか小額しか補ってくれない。

  この情報シートは、事業主を対象としているが、労働者や安全責任担当者にも役立つものである。このガイダンスに従えば、常に法律を十分遵守することになる。

仕事中における滑り・つまずきの発生

  • 厨房や食品サービスで働く者は、どの原因にもまして、滑ったりつまずいたりによって傷害を負うことが多い。
  • 基本的な対策を繰り返し行うことで、厨房で滑り・つまずき事故からの負傷を大幅に減らせる。
  • 他のサービス業と比べると、この業種での仕事のペースは、時に煩雑になりがちで、こんなときに事故が起きやすくなる。

覚えておいて行動すべき3つのキーポイント

 

  • 滑りによる負傷のほとんどが、ぬれた床で起きる。
  • 多くのつまずき事故は、整理・整頓、清掃がきちんとされていないから起きる。
  • 作業のペースが上がる忙しい時期は、このような問題にも対処できるよう、あらかじめ対策をたてること。

滑り事故

  ほとんどの滑り事故は、ぬれた床の上か残飯や調理油などで汚れた床の上で起きる。このことは、まず見ればすぐわかることである。

では、滑り事故をなくすために、何をすることができるのでしょうか?

まず第一に床をぬらしたり不潔にしないこと

  • 油や水が漏れないように、調理器具を補修し管理しておく。
  • 速やかな報告と欠陥器具への対応ができるシステムつくり。
  • ものを吹きこぼして床を汚さない。
  • プラスチックの袋や床のホコリなどの乾いた物が、床をよごさない。これらは表面をとても滑りやすくする。
  • 日常業務としての床掃除の時間を決めれば、人をリスクにさらすことなく、衛生面でも手抜かりがなくなる。

通路を通じて、床を汚さないこと。

  • 厨房やサービスエリア内へ、その内外の扉から、水のついた靴で入らせない。
  • 通路や通り抜け通路のそばで、煩雑な作業をしない。
  • こぼれ出しを防ぐため、はねよけや縁付きを使用。
  • ナベや容器にふたやカバーをつける。それらを持ち運ぶときには特にそのようにする。
  • 湯気や油が付着する前に取り除けるよう、十分な換気や排出設備を備える。
  • やかんが傾いたり、ナベなどの調理器具から出る、水や湯気のしずくやごみを取り去る配水管やしずく受けを使用する。

ぬれたり汚れた床の対処のしかた

  • 直ちにこぼれたものを掃除する。もし客相手の商売なら、お客がいるほうの床のこぼれもすぐに掃除。客が利用している、離れた別の場所のサービスエリアやセルフサービスエリアも忘れずに。
     
  • 掃除したあとで床がぬれたままにならないように。最後にはできるだけ、床が完全に乾いた状態になるまで掃除する。
     
  • 掃除して乾いた状態にするのが無理であれば、柵をおいて“床ぬれ”の警告表示をおき、人をぬれた床に立ち入らないようにする。
     
  • 被害が広がらないような掃除方法をとること。わずかにこぼれた位であれば、床をぬらすモップの代わりに、ペーパータオルを使ったほうがよい。
     
  • こぼれたものを吸い取るのにボール紙を使わないこと。適切にこぼれを処理すること。

  床を汚すモノや水によるリスクに対処しても、まだなすべきことはかなりある。一般に以下の順に考えればよい。

床には十分な滑り防止が必要

  • 床表面の凹凸により、その床が滑らないようになる。適切かつ、頻繁に十分な掃除をしなければ、その状態は失われる。適切に掃除することで、その状態に戻すことができる。
  • スタッフに正しい掃除方法とその床に合った掃除用品を指示すること。床面の製造業者に、一番良い掃除方法や清掃に適した洗剤、使用濃度をたずねること。
  • 適切な床表面には十分な凹凸で滑り防止状態が保たれ、食品衛生条件を満たすよう、簡単に掃除できる。
  • このような対策をとっても、滑る危険に対処できないなら、表面の凹凸を改善するために、滑り防止用床貼り(布)シールや表面処理が必要。
  • 滑り防止用布シールが、新たにつまずく障害物とならないようにする。

より適切な表面の凹凸がある床を新しく敷くこと(十分な滑り防止状態)

  状況によっては、新しい床表面が必要になる。その場合、以下のことを気をつける。

  • 表面の凹凸、清掃のしやすさ、衛生面など、必要にあった床を明確にすること。
  • ある特別なタイプの床を敷くことを考えているなら、自分の商売の労働環境にあっているか考える。
  • 据付けが適切になされ、敷いた床が注文した仕様に合っているかチェックすること。
  • あなたの商売で、お客が利用する側のどの床でも、ハザードが存在していないかを注意すること。

滑りのアセスメント

  床表面や店内の他の要素などを評価するのに、HSEは無料の滑り評価方法(Slip Assessment Tool)を開発した。SATはコンピュータソフトウエアで、歩行者用通路の床表面の滑りやすさの可能性の評価を、PC操作者が行うことができる。

  ソフトウエアは無料で、ウェブサイト http://www.hse.gov.uk/slips からダウンロードできる。携帯用の表面凹凸メーターと併せて使用する必要があり、メーターは評価者が取り寄せる。HSEは、メーターを供給していない。表面凹凸メーターについては、www.hsesat.info/satmeters.htm に情報がある。

階段、スロープや段差が安全かどうかチェックすること

  • 段差は容易に見分けることができるか
  • 階段やスロープは常に滑り防止状態であること
  • 手すりは必要であるかどうか

見やすいことと気が散ることは滑り・つまずきのリスクに大きな影響があること

  • 人が歩く場所では、適度な明るさが必要である。
  • 騒音、極端な温度変化や、気を散らせるものがあると、足元から歩行者の注意をそらしてしまう。

仕事の型により、滑り・つまずきのリスクが付加されること

  • 人が急いだり、大きくまたいだり、急に曲がったりする必要性をなくしたり、減らすよう検討する。
  • 人が重い荷物やかさばる荷物を運んだり、押したり、引いたりするときが、もっとも滑りやすい。その必要性をなくすため例えば、手押し車やカートなど他の手動の操作補助具を使用するよう検討する。
  • スタッフが品物を運んでいるとき、手すりをつかめるか、ひどく転ばないように手をあけていられるか検討する。
  • 作業エリアを再整理することで、これらの問題を減少させる。

履きものの選択

  • 作業場所で滑るのを防ぐ上で、履きものは重要である。適切な靴底を選べば、滑って怪我するのを減らす、大きな効果がある。最低限、目的にかなった靴を履く原則をとるべきである。
  • 履きもののタイプが違うと、その場その場で、その性能が異なる。業者から助言を得て、正しい選択ができるように、また試し履き用の履きものを提供してくれるよう頼むこと。
  • ウレタン製やゴム製の靴底は、ぬれた床ではもっとも滑りにくいタイプのものである。
  • 靴底の模様(トレッドパターン)の機能が、床のごみや破片くずで損なわれることのないようにする。もし機能が損なわれるようなら、靴底のデザインは、その作業場所に適したものではない。
  • 滑りのリスクを適切に抑制するのには、滑り防止がほどこされた履きものが必要。事業主は労働者にその履きものを支給し、その費用を負担すべきである。

つまずき事故

  配膳中のつまずき事故のほとんどは、床の上の障害物が原因である。その他は、平らでない床の上を歩いたときに生じている。動き回っているスタッフや特にものを運んでいるスタッフには、いつも自分たちの足がどこに置かれているか見れるわけではないことを覚えておく。

厨房のつまずき防止措置

平らでない床表面と段差

  • 誰かがつまずきそうな穴や損傷があるか、(ぐらぐらしたり、破損したタイルなどで)平らではないかどうか、床を調べること。
  • 段差や階段を目立たせること。
  • 通路のスロープは緩やかに、はっきり見えるようにすること。
  • 階段の踏み面の端に高可視性の細長い鉄片をつける。(それを確実に安全に固定する。)

適切な整理整頓

  • 作業場所を整頓し、全てをあるべきところに収めること。
  • 仕事を進める上で、動作が妨げられるのを避けるために、作業の流れを順序立てること。
  • 商品が障害物にならないようにすること。床に置かれたナベや包み、包装紙で、誰かがそれでつまずいてしまうのを避けること。
  • ものがきちんと整理されていれば、人が歩く妨げになるところに、搬入物が置かれることもない。
  • 日常使う材料や器具の保管場所を十分に確保すること。よく使うものの作業パターンをもう一度検討する。
  • 通路がきれいに保たれているか、容易にわかるように点検表をつける。
  • ケーブルやパイプが床を横切って這うことのないようにする。
  • カウンターのお客側をチェックすることを忘れないこと。(仕事上、接客があるなら)

他のつまずき防止方法

  • 建物の外側(例えばゴミ箱置き場や配達エリア)につまずくハザードがないかどうか、チェックすること。適度な明るさかどうかチェックすること。影やグレアのために、歩行者がつまずくハザードに気づかないことがある。
  • 気を散らせるものや視界がよくないと、滑ったりつまずいたりするリスクが増加する。
  • 人が歩くところには障害物や段差が見やすくなるように適当な明るさが必要である。

全員に関すること

  • その仕事場で働く人々が、仕事の正しい手順と用心を心得ていること。
  • スタッフが安全に作業するために、彼らが指示に従っているよう、定期的に監督する必要がある。
  • リスクを知り、必要な安全対策について理解させるために、すべての職務における労働者がこの問題に関わるとよい。この方法により、ハザードにうまく対応することができ、労働者を必要な対策に従わせることが可能となるであろう。
  • 安全の責任者が、問題点をきちんと把握したり、思ってもみなかった解決策を見い出すためにも、全員の意見には耳を傾けるべきである。

訓練

  • スタッフの自覚の欠如、不注意、なぜ滑ったりつまずいたりするのかについての理解や、訓練の不足などから、問題は引き起こされる。
  • こぼれることが引き起こす重大さ、歩く先をいつも清潔にすること、器具の欠陥を報告すること、(履きものについても含め)安全管理方法をどのように活用し注意を払うかということ、徹底した掃除と床の乾燥の重要性、事故が起きたらすぐ報告することなどの、重要な事項について、スタッフを訓練し、情報を提供し、監督すること。

法規制

  労働安全衛生法1974(The Health and Safety at Work etc Act 1974(HSW Act))では、労働者やその仕事で影響を受けるいかなる人に対しても、事業者が安全衛生を保証することを求めている。これには滑り・つまずきのリスクを抑制する手段を講じることが含まれている。

  労働安全衛生管理規則1999(The Management of Health and Safety at Work Regulations 1999)はHSW法を基に制定され、事業者が(滑り・つまずきなどの)リスクを評価し、これらのリスクを抑制する手段を講ずることを含んでいる。

  職場(安全衛生及び福祉)規則1992(The Workplace (Health, Safety and Welfare) Regulations 1992)では、床は適切なもので、清潔な状態に保たれ、障害物がないことを求めている。

事例研究

若い店員の滑ってつまずいた事故

  レストランチェーンの厨房で働いていた、17歳の男子店員がつまずき滑った結果、左手を熱い油が一杯に入ったフライヤー(フライ器)に浸けてしまい、腕、胸と首の一部にひどい火傷を負った。

  事故が起こった日、その店員がレストランの外でほかの人とゆっくりくつろいでいたところ、レストランの上司の1人が近寄っていき、店が忙しいので、無理やり、彼に通常のシフトより早めに仕事をさせた。少年は帰宅して調理着を持ってきたかったが、時間がないと言われた。代わりに普通の半袖シャツと他のスタッフの油がついた靴を渡された、その靴は適切なものではなく、前底はひどく擦り切れて機能が損なわれていた。

  厨房の床は油で汚れて、スタッフはそれを吸い取るために、床にボール紙を敷いていた。その店ではいつもそうしていた。少年はボール紙の上でつまずいて、バランスをとろうとして滑り、調理ラインの端にあるフライ器に左手を突っ込んでしまった。

  油で汚れた床という根本的な問題について、何の対処もしてなかった。ボール紙を敷くだけでは、別のつまずくハザードを招いただけで、不適切な靴がさらに状況を悪くした。

不適当な床面が招いた滑りの事故

  大通りの小売店チェーンの女性従業員が、厨房の食器洗いエリアで滑って、頭蓋骨を骨折した。彼女の怪我は深刻で、11日間も集中治療室(HDU)に入るほどだった。事故以来、彼女は仕事に戻ることができないでいる。

  過去12ヶ月の間にこの厨房で、同様の事故が4回も起きていたのに、明らかに滑りのリスクを除くことを殆どしなかった。どちらかといえばわずかに床がぬれているだけでも、床面が不適当なものであったため、滑りのリスクは許容できないほど高くなったと調査でわかっている。

  床面の改造や張替えで、滑りのリスクを減らせる。加えて、よい滑り止めの付いた履きものにより、さらにそのリスクを減らすことができるだろう。

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