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1 今回の判例  店内での転倒事故と店舗側の責任

   東京高裁平成26年3月13日判決

 57歳の女性客AがB銀行のATM利用後、外に出ようとして店舗出入口に敷かれた足ふきマットに足を載せた途端、マットの端がまくれ上がって転倒し、後遺障害が残る傷害を負いました。

 そこで、AがB銀行に対し、不法行為による損害賠償請求訴訟を提起しました。

 第1審判決は、マットの裏が濡れていたことは認めつつも、専らAの不注意によってマットが滑り事故が発生した可能性もあるとしてB銀行の責任を認めませんでした。これに対して、Aが控訴したのが本件です。

   2 裁判所の判断

 裁判所は、以下の事情を考慮して、B銀行の責任を肯定しつつ、4割の過失相殺を認めました。

 B銀行には、顧客が出入口に敷かれていたマットの上を通常の態様で歩行するに当たって加えられる力により床面上を滑ることがないように整備しておくことが求められる。

 Aは急いで出入口に向かった様子もなく、マットの端から10〜20cmの所に足を乗せたところ、マットが横にずれたためバランスを崩し滑り込むような体勢となって転倒した。事故当時、マットの裏面は湿って波打った状態にあったことから、床面上を滑りやすい状態で敷かれていた点でB銀行には注意義務違反がある。

 ただ、Aももっと注意深く足を運び、身軽な状態であればマットがズレて盛り上がったとしても転倒しなくて済むか、転んでももっと軽いケガで済んだことも考えられ、4割の過失相殺を認めるべきである。

    3 解説

(1)店舗における顧客の転倒事故についての責任

 店舗において顧客が転倒する事故が発生した場合、どこまでが顧客の自己責任で、どこからが店舗経営者の責任となるのでしょうか。

 この場合の店舗経営者の責任には、法律上は、「債務不履行責任」というものと「不法行為責任」というものの二種類が考えられますが、実質的な内容はほぼ同じです。すなわち、事故を予見し得たこと(予見可能性)と結果を回避する義務があってそれに違反したことの両方が肯定される場合に、責任が認められます。

 例えば、雨が降れば傘の雫や濡れた靴により床が濡れることが予見できるので、滑りやすい材質の床やマットはそもそも避ける必要があり、また床が滑りやすくなっていればモップで拭くなどの適切な対処をして事故を回避する義務が認められるという方向で考えられることになります。

 他方、そうした対処をしても、顧客が通常では想定できないような歩き方をしたために事故が発生したような場合には、顧客の自己責任として店側の責任が否定される方向で考えられることになります。

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