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転倒事故防止対策

1.出入り口は段差をなくす事

脱衣所と洗い場の間は、できるだけ段差のないようにしましょう。

もし、つまずく事に繋がる段差があれば、リフォームを検討しましょう。

ドライヤーのコードなども転倒の原因になりますので、注意しましょう。

2.床は滑りにくい素材にする事

床材はすべりにくい素材を選びましょう。

また、衝撃を吸収できるクッション性の高い素材もお勧めです。

木製の床材は滑りにくいのが特徴ですが、ぬめりが出てくると滑りやすくなるため、注意しましょう。

タイル床材、樹脂床材は滑り止め加工が施されているかを確認しましょう。

タイルの床材、木製の床材共ぬめりが出て滑りやすくなるのは、体指が蓄積した結果です。

冷えているときにはべたつき、お湯を使うと固まっている体指が溶け出しぬめって滑ります。

 スーパー銭湯、ホテルの大浴場の床などでも長年の体指の蓄積により、べたつき、ぬめりが発生しています。

 施設様では日常清掃されていますが、通常の清掃では体指を分解し洗い流す事ができずに、その繰り返しで蓄積された体指の影響でぬめり、滑りの原因となります。

タイル、石の床材の場合は内部に無数の隙間が有りその隙間に体指などが蓄積され、いっぱいになって溢れ出てきて表面に蓄積されます。

3.壁に手すりを付ける事

近年に建てられた住宅は初めから手すりが取り付けられている場合が多いのですが、築年数が長い住宅は手すりの取付はあまりせれていません。

浴槽の横に手すりがあるだけで、転倒の可能性を抑える事が出来ます。

出入り口にしっかりと握れるオフセット形状の手すりもあります。

 どうやら関西も緊急事態宣言が発出されそうな状況になっていますね。

1日も早くコロナ禍が収束されることを願います。

苔玉を作るのって、楽しそう!

作った結果は・・・

【2021年春開花】送料無料 一才桜苔玉 さくら盆栽 受け皿付 旭山桜 自宅でお花見 卓上盆栽桜盆栽ギフトプレゼントにぴったり【盆栽 モダン盆栽 ミニ盆栽 盆栽 ミニ 和モダン インテリア盆栽 盆栽ギフト】

これは、桜の苔玉と言うらしいです。

DIYもやっていますが限界があるので違う方向性に・・・

この桜の苔玉作ってみよう!

桜だけでなく色々な種類の木で作れるみたいなので楽しそうです。

苔玉を作るキットが売ってるところがある。

この桜などの苔玉の観賞用にアクリル板のケースを作ってみようかな!

趣味が広がっていくような(笑)

花の名前も知らない素人なのですが、グリーンスナップってアプリスマホで写メ取ったら名前を教えてくれる。

花、植物好きの人たちのコミュニティサイトみたいになってる。

花とか好きな人にはいいだろうな?

こういうサイトとかで勉強して、タイルやアクリル板などで飾り付けとかできないか考えてみよう。

今回はランボルギーニのフロントシールドの再生です。

フロントシールドの材質は車重の関係でポリカボネートとのことです。

ボディーに貼っていたプロテクションフィルムを剥がす作業中に、ボディーに残った糊を取るためにシンナーでふき取り、そのシンナーがついたウエスをシールドの上に置いてしまい白く変色してしまったそうです。

ビックリして、慌てて研磨して白くなった部分を削り取り透明にはなったが、その結果・・・

外から見ると研磨した後がありあまりわからないのだが、中から見ると驚き!!

壁の縦のラインが歪んでいる。かなり酷い状況の歪みです。

場所は右端の下で、走行には影響ないのではと言うとサーキットで右コーナーを曲がる時に、ラインを見てコーナーをせめるのでこんなに歪みがあると走れないので、何とかして欲しいとの事です。

場所が右端下の角の部分なので、歪が残るかもしれない旨を伝えたのですが、出来る限りでいいのでやってほしいと依頼されました。

施工前の悲惨な状況です。↓↓↓↓↓

最初に研磨されていた部分だけハードコートが剥がされていたので、全体のハードコートを剥がさなくてはいけない。

いざ作業を始めると、シールドに施されたハードコートが硬すぎて弊社の特殊研磨でも歯が立たない(´;ω;`)

しかし、今までの経験からこういう事態に対処出来るようにさらに特別な研磨方法があり、その方法でなんとかハードコートが剥がれていく・・・

ハードコートを剥がすとその過程で傷がつくので、全体の傷を消さなくてはいけない。

しかし、研磨した部分(300㎜×300㎜)をハードコートを剥がして変色した部分を削り取ってこの状態になるまで、どの位の時間がかかりましたかと聞くと2日位かかったとの事でした。弊社の特別な特殊研磨で全体のハードコートを剥がすのに約5時間残りの傷消し再生と、歪の再生で13時間位かかりました。

ハードコートを剥がす過程↓↓↓↓↓

再生完了!

お客様もビックリ! 大喜び!

終わってから、シールド交換しても120〜130万円ぐらいでしょ交換した方が新品でいいのではというと、この車のシールドは日本では出来ないので本国に送ってメーカーで交換するしかないので費用もいくらかかるかわからない。それよりも、1週間後にサーキット走るので日程的に間に合わなかったのですとの事でした。

無事にお役に立ててよかったです。

やはり日毎の研鑽に努める事は大事ですね。

どのような状況にでも対応できるように、お客様のお困りごとを解決し喜んで頂けるように、これからも日毎の研鑽に努めてまいります。

    

      

 

    

物作りが好きで昔からDIYで、色々な物を作って楽しんでいました。

コロナで緊急事態宣言や自粛ムードの中、家にいる事が多くなりホームセンターなどに通う事が増えました。

色々考えては作って部屋のリフォームをしています。そんな時に、ネットで見てるとおもしろいサイトを見つけて、DIYの材料だけでなく工

具や塗料、日用品まで数多くの品ぞろえがあるサイトでDIYが初めてでも出来るように作り方の説明などもあるようです。

DIYファクトリーというサイトでした。

面白そうで便利そうなので、欲しいものがあるか探してみよ!

セットで販売しているのが嬉しい(#^.^#)

玄関、お風呂などタイルや石の床が滑って危険、対策をと思う時は弊社の滑り止めをご体感下さい。

驚きと感動を!

日時

平成14年5月

被告

病院

内容

病院に入院していた原告が,
1.トイレの出入口スロープ部分が水で濡れていたため滑って転倒し,左大腿骨頚部骨折の傷害を受けたとして。
2.事故当時独力で院内を安全に歩行することが困難な状態にあったにもかかわらず,夜間の独力歩行をさせたという注意義務違反として。
3.睡眠薬を継続投与する際の観察看護義務違反を理由とする債務不履行又は不法行為に基づき。

損害賠償

約2300万

判決

原告は右手に点滴用スタンドを持った状態で,
1.トイレの出入口スロープ部分が水に濡れていたために転倒したと認めることはできず,本件通路部分で転倒したと認められる。
2.被告病院が外来患者に対して睡眠薬を出す場合にも注意をするにとどまり,服用後短時間で 目が覚めた後に1人で動き回らないことやトイレに行く場合には付添が必要であるなどの指示をしているわけではないことが認められ,かかる被告病院の取扱いが不適切であると認めるべき証拠もない。
3.通常の入院患者に対する観察看護義務を超えて,ハルシオン投与後の原告の行動を観察すべき注意義務があったとは認められない

結果

棄却

事故概要

スポ−ツクラブの正会員が、当該クラブのプ−ルで行われた水中体操に参加後、水着のままロッカ−ル−ムに通ずる廊下を歩行中転倒して負傷した。

本件事故当時、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、何らかの原因のために、利用者の身体から落ちた水滴が集まって小さな水たまりができやすかったこと、この箇所に水がたまっていると、滑りやすかった。 

この事故の事故パターン

 

事故のきっかけ

事故の過程

結果

詳細と留意点

  

濡れ 

すべる 

転倒(床の上で転ぶこと) 

事故概要詳細

情報ソース

裁判判例 

建物用途

店舗・娯楽施設等  

場所

廊下・ホール  

建築部位

平坦な床  

障害程度

中度のケガ  

事故にあった方

年齢

 

性別

 

判例の詳細

責任の所在

建物所有者(スポーツクラブ経営者)

瑕疵・過失の有無

瑕疵あり 

ア プール、シャワー利用後よく身体を拭かず、水着が水分を相当含んだ濡れた状態のままで利用者が通行することが少なくなかったため、本件廊下は、ナラの小市松材質でフローリングされた床面上に水滴が飛散し、しばしば滑りやすい状態になったこと

イ 利用者は素足で本件廊下を通行するので、転倒して受傷する危険性があったこと 

ウ 係員は、本件廊下やロッカールーム等をおおむね一時間おきに巡回して床の水をふき取ったり、プールでのレッスンが終了した後も、時間を見計らって本件廊下の水をふき取る等して清掃を行っていたが、その清掃が行われる前には、本件廊下、殊に、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、小さな水たまりができる等して滑りやすい状態になっていたこと、

エ にもかかわらず、カラーすのこを敷く等して右危険を防止する有効な措置が執られていなかったこと

から、本件施設には、設置又は保存の瑕疵がある。

過失相殺

被害者以外に同様の事故が生じやことはないことなどから被害者の過失を認め、過失相殺(4割)している。

判例の解説

事案の概要

スポ−ツクラブの正会員が、当該クラブのプ−ルで行われた水中体操に参加後、水着のままロッカ−ル−ムに通ずる廊下を歩行中転倒して負傷した事故が発生した。被害者が建物所有者であるスポーツクラブに対し、工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。

なお、本件事故当時、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、何らかの原因のために、利用者の身体から落ちた水滴が集まって小さな水たまりができやすかったこと、この箇所に水がたまっていると、滑りやすかったことが認められている。

裁判所の判断

裁判所は、

① 工作物ノ設置又ハ保存ニ瑕疵アル」とは、当該工作物が当初から、又は維持管理の間に、通常あるいは本来有すべき安全性に関する性状又は設備を欠くことをいい、その存否の判断にあたっては、当該工作物の設置された場所的環境、用途、利用状況等の諸般の事情を考慮し、当該工作物の通常の利用方法に即して生ずる危険に対して安全性を備えているか否かという観点から、当該工作物自体の危険性だけでなく、その危険を防止する機能を具備しているか否かも併せて判断すべきであるとした上で、

② 本件につき、

 ア プール、シャワー利用後よく身体を拭かず、水着が水分を相当含んだ濡れた状態のままで利用者が通行することが少なくなかったため、本件廊下は、ナラの小市松材質でフローリングされた床面上に水滴が飛散し、しばしば滑りやすい状態になったこと

 イ 利用者は素足で本件廊下を通行するので、転倒して受傷する危険性があったこと 

 ウ 係員は、本件廊下やロッカールーム等をおおむね一時間おきに巡回して床の水をふき取ったり、プールでのレッスンが終了した後も、時間を見計らって本件廊下の水をふき取る等して清掃を行っていたが、その清掃が行われる前には、本件廊下、殊に、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、小さな水たまりができる等して滑りやすい状態になっていたこと、

 エ にもかかわらず、カラーすのこを敷く等して右危険を防止する有効な措置が執られていなかったこと

から、本件施設には、設置又は保存の瑕疵があったものと判断した。

③ また、会員の会則では「本クラブの利用に際して、会員本人または第三者に生じた人的・物的事故については、会社側に重過失のある場合を除き、会社は一切損害賠償の責を

負わないものとする。」旨定めているが、本件施設の設置又は保存の瑕疵により事故が発生した場合の被告の損害賠償責任は、スポーツ施設を利用する者の自己責任に帰する領域のものではなく、本件規定の対象外であるとした(免責規定による免責は認めなかった)。

④ ただし、被害者以外に同様の事故が生じやことはないことなどから被害者の過失を認め、過失相殺(4割)している。

事件番号・判例時報

平成7年(ワ)18345

1627号129頁

953号208頁 

裁判年月日

平成9年2月13日 

事件名

損害賠償請求事件 

裁判所名・部

東京地裁 

判示

一部容認

一部棄却 

原審事件番号

 

原審裁判所名

 

原審結果

 

被害者

利用者 

天候等の状況

 

雨で床滑り転倒 障害残る、しまむらに賠償命令 

雨水でぬれた床で転んで骨折したのは店側が転倒防止の措置を怠ったのが原因として、
福岡県苅田町の女性(66)が衣料品量販チェーン「しまむら」(本社・さいたま市)を相手取り、
約1771万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、福岡地裁小倉支部であった。
岡田健裁判官は「客が滑って転倒する危険があったことは明らかで、滑りやすい状態が放置されていた」として、同社に約572万円の支払いを命じた。 

判決によると、女性は2009年7月24日、北九州市戸畑区の「ファッションセンターしまむら一枝店」を訪れ、入り口の自動ドア付近に置いてあった傘袋のスタンド近くで転倒し、右太ももを骨折。人工の骨で補強する手術を受け、後遺障害で右股関節が動かしにくくなった。

女性は「転倒したのは床が雨水でぬれていたためで、傘袋スタンド付近に滑り止め用マットを敷くなどの
事故防止策を怠った」と主張。同社は「自動ドアの外側などにマットを敷くなど対策を講じていた」と反論していた。

岡田裁判官は女性の損害額を約1486万円としたうえで、「滑らかな床面で、滑りやすくなっていたことは原告も容易に推察できた」として過失割合は原告65%、被告35%と判断。弁護士費用を加えて賠償額を算定した。

(2011年11月29日 読売新聞)

樹脂・プラスチックの耐候性 

樹脂・プラスチック材質には耐候性と呼ばれる性質があります。耐候性とは文字の通り気候の変化への耐性です。
屋外で使用された際に、太陽光・紫外線や温度の変化によって変形・変色・劣化等の変質を起こしにくい性質のことです。
つまり、どれくらい気候の変化に強いか、ということを表しています。

耐候性が低いと具体的にどのような症状が起こるのでしょうか。
①変色→白色に変化したり、黄色く変化したりします
②硬化→硬くなります。
③変形・割れ→反りが生じたり、ひびが入ったり、欠けたりします

屋外で使用することによる樹脂の劣化の分かりやすい例に樹脂製の洗濯バサミがあります。
よく使用されている洗濯バサミの材質はPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)なのですが、これらの材質は耐候性がよくありません。
なので、洗濯バサミを使用してしばらく経つと、①色が変色して薄くなったり、②挟む部分が購入したばかりの時より硬くなっていてスムーズに使用できなかったり、③最終的にはある日突然欠けて割れる。
このような経験をされたことがある方は多くいらっしゃると思います。

では、なぜ上記のような劣化症状が発生してしまうのでしょうか。主な原因は以下の4つです。
①太陽光・紫外線
② 雨水
③ 酸素による酸化反応
④ 朝昼夜の温度変化

耐候性が低い樹脂・プラスチック材質はこれらにより状態が変化しやすく、元の強度を保つことができません。
室外での使用を想定される場合は耐候性は重要な指標になります。

材質の耐候性を調べる為に行われている試験

耐候性は屋外曝露試験で検査されます。
その名の通り、屋外にサンプルを設置し、実際の天候による影響を見る試験方法です。
ただ、同一条件下での再現は難しく、非常に長い時間が必要となるという欠点があります。
その為、実際に採用されている試験方法は促進曝露試験です。光・熱・湿度等の劣化の原因となる条件を人工的に再現し、短期間で材質の寿命等を予測する試験方法です。
ただ、この方法も屋外曝露試験と比較すると精度が悪いという欠点がある為、2つの試験方法を併用しながら精度を高めると良いと言われています。
最後に耐候性が良い樹脂・プラスチック材質をいくつか紹介します。

耐候性に優れた樹脂

アクリル
プラスチックの中で最も耐久性に優れ、美しい透明性を保った「アクリル樹脂」
透明度が高く、光透過率はガラスをも凌ぐ93%です。太陽光や雨風等の気象条件にも優れた耐候性を発揮する材質です。
また、貼り合わせ加工が可能です(接着剤を使用)。
耐衝撃性にも優れている為、ガラスのように破片が飛び散ることも少ないです。
使用用途:看板や自動車のランプレンズ、電飾サインのカバーなど。
チラシを入れるようなカタログケース等も接着によって製作可能です。
大きなものであれば水槽等もアクリルで製作されていることが多いです。

ポリカーボネート
高い透明性・自己消火性・耐衝撃性をもつ「ポリカーボネート」

樹脂材質の中で最高クラスの耐衝撃強度を有しています。ハンマーで叩いても割れない為、防弾材としても使用されています。
アクリルと同じく接着剤による貼り合わせ加工が可能な材質です。
使用箇所:アクリルと同様、看板や電飾サインのカバー等に使用されています。また、ベランダや駐車場の屋根や高速道路の防音壁にも使用されています。

塩ビ
加工性に優れた五大汎用樹脂の一つ「塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)」

五代汎用樹脂の一つです。
比較的安価な材質で、加工性にも優れています。
接着・溶接加工が可能です。また耐薬品性に優れており、ほとんどの酸・アルカリ・塩類に侵されることがありません。
耐候性も良いのですが、どちらかと言うと安価であるという理由で選定されやすい材質です。
使用箇所:硬質の塩ビは配管やダクト・水道管のパイプ等の工業用の製品に使用されています。
軟質塩ビであれば、衣類やバッグ類、ビニールハウスにも使用されます。
※弊社で加工可能なものは硬質な塩ビのみです。

PTFE(テフロン)
代表的なフッ素樹脂「テフロン」

フッ素樹脂は屋外で長期間使用しても物性の低下は起きないことで知られています。
ただ、屋外で使用されるフッ素樹脂はコーティングで用いられることが多いです。
フライパンのコーティングで知られているテフロンコーティングですが、東京ドームの膜材にもテフロンコーティングが使用されています。
テフロンは他の樹脂材質と違い、吸水がゼロの為、雨に強く耐えることができます。

日時

平成26年3月

被告

大手銀行

内容

支店で入口にあった足拭きマットが滑り転倒、負傷したとして。ATMを利用した後、出入口に敷いていたマットに足を乗せたところ転倒し、頭や腰を打撲した。

損害賠償

約2800万円

判決

マットが床の上を滑りやすい状態で設置されていた。マットの裏側がぬれており、足を乗せたことで滑ったのが原因であった。客の安全を確保する必要があるのに、管理を業者に任せきりにしていたとされた。

結果

92万の支払いが命じられた。

 管理者責任を問われ、賠償責任を負うことがあります!

バリアフリー新法の義務化後、ビルオーナー・ビル管理者・施工管理者・メーカーに対しての訴訟が急増しています。
転倒事故が発生すると管理者の責任が問われることがあります。


日時

平成21年7月

被告

大手衣料品量販チェーン

内容

雨水で濡れた床により転倒して骨折してしまったのは店舗側が転倒防止措置を怠ったのが原因として。女性は右太ももを骨折。後遺障害で右股関節が動かしにくくなった。

損害賠償

約1750万円

判決

滑らかな床面で、滑りやすくなっていたことは容易に推測できたとされた。

結果

被告の35%の過失割合が認められた。約570万の支払いが命じられた。

事故概要

宿泊客が豪雨による浸水後、泥水に足をとられて旅館内の便所で転倒して負傷した。 

この事故の事故パターン

 

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  濡れ  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 

 

事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 ホテル・旅館  
場所 水回り(キッチン・トイレ・風呂)  
建築部位 平坦な床  
障害程度 重度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

 

判例の詳細

責任の所在
建物所有者・占有者(旅館経営者)
瑕疵・過失の有無
過失あり

泥水が浸水した後の本件便所の清掃管理につき、同所を利用しようとする者がすべって転倒することがないよう十分に清掃して泥水を除去し、又はこれが不十分な場合には当該場所に立ち入ってはならない旨の表示をすべき信義則上の安全配慮義務を負っていたというべきところ、それにもかかわらず、これを尽くさなかった結果、本件転倒事故を発生させた。

判例の解説

事案の概要
旅館の駐車場に顧客の自動車を駐車させていたところ、前面の丘陵が豪雨により崩落し、自動車が土砂をかぶって被害を受けたことから、顧客が旅館経営者に対し、場屋営業者の寄託責任に基づき損害賠償を請求した事案である。また、同時に、顧客が豪雨による浸水後、泥水に足をとられて旅館内の便所で転倒して負傷した場合について、旅館の安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求した。
裁判所の判断
①裁判所は、土砂崩れの原因となった集中豪雨は、「稀にしか発生しない災害であったということができる」としながらも、その「崩落箇所はその全体の一部にとどまること、本件丘陵部分は傾斜地であるにもかかわらず、これに接して駐車場が設けられていたことからすれば、本件丘陵部分に何らかの土留め設備が設けられていれば本件崩落事故は生じなかったとの可能性を否定し去ることはできない。」とした。また、「本件丘陵部分の土砂崩れが始まってから本件車両に土砂が被さるまでの崩落の勢いはさほど急激なものとまではいえなかったことが推認され、そうだとすれば、被告従業員等が事態に迅速に対応していれば本件車両の損傷の被害を防止できたとの疑いがある。」と認定し、「本件車両が損傷したことが不可抗力によるものとまで認められない」とした。

②また、裁判所は、転倒事故についても、「泥水が浸水した後の本件便所の清掃管理につき、同所を利用しようとする者がすべって転倒することがないよう十分に清掃して泥水を除去し、又はこれが不十分な場合には当該場所に立ち入ってはならない旨の表示をすべき信義則上の安全配慮義務を負っていたというべきところ、それにもかかわらず、これを尽くさなかった結果、本件転倒事故を発生させた」と認定し、転倒事故に係る損害賠償責任も認めた。

本判決のポイント
自然災害についても、自然力が存在している時点及び事後的な対応が不十分であることにより、法的責任が生じる可能性があることに注意が必要である。

事件番号・判例時報 平成6(ワ)16962 
裁判年月日 平成8年9月27日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 東京地裁 
判示  
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 宿泊客 
天候等の状況  

事業者側の過失を肯定した裁判例

転倒事故に関して、介護事業者側の過失を認めた裁判例は多数有りますが、このコラムでは、大阪高裁平成19年3月6日判決と福岡地裁小倉支部平成26年10月10日判決を紹介します。

大阪高裁平成19年3月6日判決は、利用者が痴ほう対応型共同生活介護施設において転倒・骨折し、その結果、転倒事故から約2年後に死亡した事案です。裁判所は、「普段と異なる不安定な歩行の危険性があり、それが現実化して転倒に結び付いたものであり、職員としては、利用者のもとを離れるについて、せめて、利用者が着座したまま落ち着いて待機指示を守れるか否か等の見通しだけは事前に確認しなくてはならないのに、これを怠った」と認定し、施設側の責任を認めました。つまり、職員としては、利用者が普段と異なる不安定な歩行をする可能性があったことを認識できた筈であるから、しかるべき対処をするべきだったのにこれを怠ったものと判断したのです

福岡地裁小倉支部平成26年10月10日判決は、96歳だった利用者が、被告経営の特別養護老人ホームの短期入所生活介護事業サービスを利用中、転倒して傷害を負い、その後死亡したという事案です。裁判所は、①利用者の足腰がかなり弱っていたこと、②訪問看護記録には歩行状態の不安を指摘する記載があること、③訪問看護計画書にも、「・・・・転倒する可能性が高い」との記載があること、④被告施設も利用者に対して歩行介助を提案していたことなどから、利用者は基本的に歩行中いつ転倒してもおかしくない状態であったというべきであり、被告が本件事故を予見することが可能であったとしました。その上で、被告(施設側)は、利用者が歩行する際、可能な範囲内において、歩行介助や近接した位置からの見守り等、転倒による事故を防止するための適切な措置を講じる義務があったのに、これを怠ったとして、施設側の責任を認めました。つまり、裁判所としては、職員は利用者が転倒する可能性があったことを認識していた筈であるから、事故防止のための措置をするべきだったのにこれを怠ったものと判断したのです

施設側の過失を否定した裁判例

他方、転倒事故に関して、介護事業者側の責任を否定した裁判例も多数存在しますが、ここでは、東京地裁平成24年11月13日判決と東京地裁平成27年3月10日判決を紹介します。

東京地裁平成24年11月13日判決は、当時71歳の利用者が、被告会社の設置、運営するデイケア施設を利用していた際、転倒事故により傷害を負ったとして、利用者の相続人である原告が損害賠償を求めた事案です。裁判所は、①アセスメント表(利用者の状態や希望などの情報収集した結果をまとめた表)には、寝返り、起き上がり、移乗、歩行についての評価は「自立」であり、歩行、立位、座位でのバランスは「安定」の評価との記載があったこと、②利用者、本件施設の見学や利用の際にも一人で歩行しており、その際転倒したことはないこと、③日常的に通院していた病院の診療録をみても、利用者は、最後に入院していた時も転倒・転落歴や歩行時のふらつきもなかったことから、歩行能力において特に問題はなく、階段の昇降を含め、歩行時に介助を必要とする状況にはなかったと認定し、施設側は、利用者が転倒することを予見するのは不可能だったと認定しました。つまり、アセスメント表やカルテの記載を検討し、そこには、転倒・転落をした経験があることや、歩行時にふらつきがあったとの記載が無いことから、利用者が転倒することは予見できなかったと認定したのです

東京地裁平成27年3月10日判決は、利用者がデイサービスの帰りに自宅の玄関内で靴を脱ごうとしたところ、転倒したという事故です。利用者が自分を靴箱の横に置いてあった椅子に座らせて靴を脱がせるべきであったのにこれを怠ったと主張しました。これに対し、裁判所は、本件通所介護契約に基づき、原告は転倒しないよう十分な注意を払うといった抽象的な義務を負うが、原告が主張するような態様で介助する債務を負っているとは認められない上、被告の従業員が実際に行った介助につき明らかな不手際があったとまではいえず、むしろ、原告の行動に起因する突発的な事故であった可能性も残ることから、事業者側の責任を否定しました。

重要なのは予見可能性の有無と程度

予見可能性と予見義務

事業者側の過失を認めた裁判例(大阪高裁平成19年3月6日判決と福岡地裁小倉支部平成26年10月10日判決)と、過失を否定した東京地裁平成24年11月13日判決を比較すれば明らかとおり、施設や介護職員が、転倒事故が発生する可能性があると予め認識できたかどうか、あるいは、実際に認識すべきであったかどうか、つまり、予見可能性と予見義務が問題となります。

結果回避可能性と結果回避義務

また、予見可能性と予見義務があることを前提に、結果を回避する可能性や、結果を回避する義務の有無も問題となります。

たとえば、事業者側の責任を認めた裁判例(大阪高裁平成19年3月6日判決と福岡地裁小倉支部平成26年10月10日判決)でも、明言こそされていませんが、職員が実際に適切な措置を講じることは可能であり、それを講じていれば、事故の発生を回避できたことが、事業者側の責任を認めることの理由だと考えているようです。

特に重要なのは予見可能性の有無と程度

本来、予見可能性と予見義務は、それぞれ別の概念であり、これが全てそろわないと事業者側の責任は認められません。

しかし、実際には、ほとんどの事件で、裁判所は事業者側が転倒などを予見できるのであれば、これを予見すべき義務があると認定される傾向にあります。事業者側の過失を認める傾向にあります。すなわち、予見可能性さえ認めてしまえば、特別な事情がない限り、事業者側の予見義務が認められることが多いのです。

もっとも、予見することが出来たとしても、その可能性が極めて少ないといえる時には、例外的に事業者側の責任を否定することもあります。また、予見することが出来たとしても、抽象的な可能性しか認識できなかった場合にも、事業者側の責任を否定する傾向にあります。

私見ですが、転倒事故において、最終的に問題となるのは、予見できる可能性の有無ではなく、程度ではないかと思われます。すなわち、高齢者、とりわけ介護を必要とする人物であれば、多かれ少なかれ転倒する可能性はあるはずです。高齢者が転倒することは誰しもが予見出来るわけですが、それだけで予見可能性を肯定してしまうと、およそ全ての転倒事故について事業者の過失を認めることになり、結果的に無過失責任(事業者の過失がなくても事業者の責任を認めること)を認めることになってしまいますが、それはあまりにも不合理です。

したがって、利用者が転倒する点について、抽象的な危険のみを認識していたのみでは、事業者側の過失は否定されるべきでしょう。

いずれにしても、最も重要なのは、事業者側が転倒などを予見できたかどうか、予見できたとしてどの程度予見できたのか、という点といえます。

予見可能性判断要素と資料

そして、その予見可能性やその程度を判断するにあたって、裁判所は、以下のような要素を総合的に検討して結論を導いています

① 利用者の年齢、性別

② 利用者の要介護度、身体動作の能力

③ 利用者が疾患(精神と身体のいずれをも含む)を抱えている場合にはその症状

④ 利用者の経歴や普段の行動

⑤ ①〜④について事業者側に与えられた情報の内容

⑥ 転倒した場所の状況や属性(転倒しやすい状況にあるかどうか)

⑦ 実際に転倒した時の動作や状況(利用者が転倒しやすい動作をしていたかどうか、職員の配置状況や行動、転倒防止措置の内容など)

この判断の材料となる資料としては、訪問介護計画表や病院の診療録などの証拠が重要な証拠として用いられます(重要な資料については、「家族など利用者側にの対応」ご参照)。とりわけ、医師が介護事業者向けに作成した書面(居宅療養管理指導書など)は、まさに介護事業者の対応を指示するために作成されたものですので、その文書の内容は極めて重要視される傾向にあります。

ただし、その資料の一部に「転倒に気をつけてください」とか「転倒注意」と書いてあることだけで、直ちに事業者の予見可能性が認められるとは限りません。実際、東京地裁平成28年8月23日判決は、病院の指導書に「転倒に気を付けてください。」と書いてあった事案ですが、裁判所は、「平成26年5月に至り,転倒に留意すべき旨の記載がなされているものの,その根拠となる具体的な事実の記載はなく,本件施設職員による観察及びその分析,情報共有の結果によるも,原告の問題性としては失禁時の対応や帰宅願望への対応が中心であり,歩行能力について格別具体的な問題は観察されず,本件各契約締結後,本件施設において原告が転倒したことはないほか,入所オリエンテーション時及びその後の連絡や面会の機会において,原告の家族からは転倒に対する具体的な不安は聞かれていない。」などとして、この記載を理由に予見可能性を認めることはありませんでした。

私見ですが、もし、この事案で、指導書などに転倒に留意すべきことの根拠となる具体的な事実(たとえば、下肢の機能の低下や、自律的な移動が困難である)などが記載されていれば、転倒の具体的な危険を認識すべきであったとして、事業者側の過失は肯定されたものと思われます。

結果回避可能性と結果回避義務

転倒の予見可能性と予見義務があったとしてもたとえば、見守り体制を整えて高頻度の見守りや声かけをしていたということであれば、結果回避可能性はない、と認定されて事業者側の過失が否定されることもあります。

結果回避可能性と結果回避義務の判断にあたっては、具体的には、事業者側が、①いつ、誰が、何をすべきだったのか、②それをしなかったことが結果の発生とどう結びついたのか、③介護事業者が実施すべき行為が、介護水準や介護慣行に照らして、行うべきものと期待できるものなのかどうか、が問題となります。

たとえば、東京地判平成27年3月10日の裁判例は、利用者がデイサービスの帰りに自宅の玄関内で靴を脱ぐときに転倒したという事案ですが、裁判では、デイサービスの送迎担当者が利用者を自宅の靴箱の横に置いてあった椅子に座らせて靴を脱がせべきであったかどうかが問題となった事案です。この事案で、裁判所は、このような介助をすべき債務を事業者が負っているとは認められないし、実際に担当者が行った介助につき明らかな不手際があったとまではいえないとして、利用者の責任を認めませんでした。明言はされていませんが、この裁判例は、結果回避義務を否定したものと理解できます。

ところで、介護事業者側が利用者に対し介助を申し出たときに、利用者がこれを拒否した場合には、結果回避可能性がないと言えないか、問題となります。この点が争点となった裁判例として、横浜地裁平成17年3月22日の裁判例があります。これは、通所型の介護サービスを受けていた利用者(女性・85歳)に対し、職員がトイレ内での同行介護を申し出ましたが、その利用者が拒絶した後、トイレ内で転倒し、右大腿骨頸部内側骨折してしまい、その後、要介護4の認定を受けたというものです。この利用は、この事故以前も転倒し、左大腿部を骨折したことがあり、主治医の意見書でも「介護に当たっては歩行時の転倒には注意すべき」と記載されていました。裁判所は、「トイレ内で転倒する危険があるので,職員としては,意を尽くして転倒等の危険を説明し,介護を受けるよう説得すべきであり,それでもなお真摯な介護拒絶の態度を示したような場合でなければ,介護義務を免れることにはならない。」などと示して、事業者の過失を認めました(ただし、利用者側の過失も認め、3割の過失相殺をしました)。

このように、利用者が介護事業者側の介助を拒否した場合であっても、きちんと危険であることの説明をし、説得をしないままでは、事業者側の過失は認められてしまうのです。

事故そのものだけでなく、事故後の対応が不十分とされることも

事故自体に過失がなくとも、事故後の対応が不適切であり、それについて賠償責任を問われることもあります。

そのような事案として、東京地裁平成25年5月20日判例を紹介します。これは、高齢者である原告が、一度乗り込んだ送迎車両から降りようとして転倒した際、右大腿骨頸部骨折の傷害を負い、翌日まで受傷状態のまま放置されたという事案です。

本件事故が被告の安全配慮義務違反により生じたとはいえないものの、翌朝まで原告を留め置いた被告には、速やかに医師に連絡を取る等の必要な措置を講ずべき義務違反が認められるとして、請求を一部認容しました。

一般的に、高齢者が転倒した際に骨折、捻挫、脱臼等の傷害を負う危険が高いです。また、そもそも痛みを感じる機能が衰えていることもあるし、骨折をした場合でも患部を動かすことができる場合があるため、怪我をしていないと即断するのは危険です。したがって、転倒したら速やかに医療機関の治療を受けさせるべきでしょう。

過失の有無が問題となったら

このように、裁判において、事業者の過失の有無は、さまざまな事情から総合的に判断されますので、どのような事情があれば過失を認めるべきかについては、ケースバイケースの判断となります。過失の有無について、確立的な基準を立てることは困難です。

もし、利用者の方でも、事業者側の方でも、転倒・転落事故における過失の有無についてお悩みの点があれば、弁護士に相談することをお勧めします。

また、いずれにしても、裁判では、訪問介護計画表や病院の診療録などの資料が重要な証拠として用いられるということは間違いありません。それらの資料の収集方法が分からないとか、どう分析したら良いか分からないなど、収集や分析についてもお悩みの方は、弁護士に相談した方が良いでしょう。

転倒事故に関する裁判例の概要はこちら

転倒事故について事故様態が争われた裁判例はこちら

冬に増加する“転倒”にご注意下さい


冬は服装が厚着で動きにくくなります。その上、寒さで筋肉も思うように動かなくなるため、転倒事故増えます。
転倒・骨折が原因で、介護が必要になる場合も少なくありません。
そのため、転ばないための対策をし、予防することが大切です。

日々の生活の中には、さまざまな転ぶ要因があります。
環境編とカラダ編という2つの視点から対策をお伝えします。
さぁ、今から転倒リスクを減らしましょう。

転ぶ要因を無くそう!【環境編】

  1. 敷居や小さい段差は、スロープ等を設置し段差をなくす。
  2. 電気コードが露出しないように家電を配置する。
  3. 厚手の靴下は足裏の感覚が鈍くなるため、室内で動く時は注意が必要。
  4. マットの縁につまづくことがあるため、マットは敷かない。
  5. 階段などすべりやすい所には滑り止めをつける。
  6. 畳や床にある新聞紙やチラシ、買い物袋を踏むと滑って危ない。
    そのため、畳や床に物を置かない。急な行動をとらない。
  7. 行動をおこす前は、一呼吸おいて慌てない。
  8. 自転車に乗る時、自転車から降りる時の転倒事故が多いです。
    「私は大丈夫!」と思いがちですが、細心の注意を払いましょう。

転ぶ要因を無くそう!【カラダ編】

筋力が低下すると、脚が上がりにくくなります。日頃からウォーキングなどで足の筋力をつけ、歩くときは脚をあげることを意識しましょう。座ったまま・寝ころんだまま行える運動もあります。ストレッチなどで足首を柔らかくするのも良いです。薬によっては。副作用でめまい、ふらつき、脱力感などが起こる場合があります。薬を服用する際は注意事項をよく読み、心配であれば医師や薬剤師に相談しましょう。

対策をしても転倒してしまった場合は

まずは、安静にして、打った場所や出血を確認します。

  • 骨折の可能性があったり出血が多い場合は医療機関へ。転倒した時は何ともなくとも、しばらくしてから腫れたり、痛みが出てくる場合もあります。
  • 頭部を打っている場合は、出血がなくても48時間は様子を見てください。吐き気がある、ろれつが回っていない、歩行状態がおかしいなどの症状がある場合はすぐに医療機関を受診して下さい。

対策をしても何度も転倒が続く場合は、病気の可能性も疑いましょう!!

入浴事故編【介護事故の類型別対応策(裁判例を基に)】

介護事故は、事故類型ごとに分類することが可能であり、介護事故全般に共通する対策の他に類型ごとに取るべき対策があります。

本稿では入浴時の事故について、実際の裁判例を基に事業所として取るべき対策について検討します。

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注意義務違反の水準について

介護事故において、事業所が負うべき法的責任の一つに契約上の安全配慮義務違反がありますが、この責任の有無を判断するにあたっては、介護を行うものがどのような水準の注意義務を負うのかということについて争いになることがあります。

この点について、介護でも様々な場面がありますが、事故の起きる可能性が高いシチュエーションではより高度な注意義務(事故を予見し、回避する措置を講じる義務)が認められる場合があります。

本件の裁判例では浴室における転倒事故の危険性から高度な注意義務が課されています。

平成24年12月5日青森地方裁判所弘前支部判決

  • 事案の概要

社会福祉法人の運営するデイサービスにおいて入浴介護サービスを受けていた高齢者が、入浴介助中に浴室内で転倒し、大腿骨を骨折し、後遺障害等級12級の後遺症が認められた事案。

  • 当事者

入所者 大正9年生まれ

入所以前に大腿骨を骨折し日常生活における単独歩行は困難な状態であった。そのため入浴介護を受けることを主な目的としてデイサービスの利用を始めた。事故時の養介護度は3であった。

事業所 特別養護老人ホームの他、老人デイサービス事業の経営を行う社会福祉法人

  • 事故に至る経緯
    •  入所者は平成20年1月に右大腿骨を骨折し、以降寝返りや起き上がりは自力で可能であったが、日常生活における歩行が困難であった。そこで同年4月より入浴介護を受けることを主な目的として、事業所におけるデイサービスの利用をはじめ、入浴介護サービスを受けていた。
    •  入所にあたり入所者の娘が担当者に、入所者が平独り歩きを試みていることに対して懸念を抱いていることを説明し、事業所も担当者会議においてその事実を把握していた。
    •  入所後9月ころから入所者は車いすや簡易トイレへの移動を少しの介助で行えるようになっていたが、かえって、待ったがきかずに不安定な体勢での移動を試みるようになり、そのことは事業所担当者も把握していた。11月には入所者は青痣をつくり、事業所担当者が確認したところ転んでぶつけたと回答していた。
    •  平成21年には下肢機能が相当程度回復し、自立歩行は困難であるものの立ち上がりが上手くなり、簡易トイレへの移動介助も楽になっており事業所も把握していた。
    •  平成21年3月31日、入所者は他の利用者4名と共に入浴介護サービスを利用した。介護担当者は2名であった。

脱衣後入浴補助簡易車椅子に乗り、浴場に入場し洗身を終えた。その後他の利用者が洗身介助を介護担当者に依頼したことから、介護担当者は入所者に待っているように告げ、入所者もうなずいたことから、入所者の車椅子をすぐ側に移動させたうえで他の利用者の入浴介助を行っていた。すると入所者が突然前かがみになって車椅子ごとバランスを崩し、床面に転倒した。

入所者は当該転倒により左大腿骨を骨折し、後遺障害等級12級の後遺症が残った。

  • 事業所の主張

本件事故の際、介助担当者は入所者のすぐ横に座って他の利用者の洗身の介助を行っており、かつ入所者にそのまま座っているように伝えて入所者もうなずいていたことから、入所者に目を配りつつ洗身介助を行っていたにも関わらず、入所者がにわかに立ち上がったことから転倒したものであり、安全配慮義務違反を尽くしていた。

  • 裁判所の判断

注意義務について

「介護事業所の担当者としては、浴室という湯水や洗剤等により滑りやすい危険な場所において,一般的に身体能力が低下し刺激に対する反応性も鈍化している高齢者に対して入浴介助を行う際には,対象者の見守りを十全に行うなどして対象者の転倒を防止する義務があるところ,上記のように,日常的な自立歩行は困難であるものの,ある程度の挙動傾向のみられる対象者については,より転倒の危険が高いといえるのであるから,自立歩行可能な対象者に比べて更に高度の注意を払う必要があり,具体的には,対象者から目を離さないようにするとか,一時的に目を離す場合には,代わりの者に見守りを依頼したり,ひとまず対象者を転倒のおそれのない状態にすることを最優先とするなどの措置を取る義務があったというべきである。」として、入浴介助時には転倒の危険が類型的に高いことから、より高い注意義務が課せられているとしています。

具体的義務違反について

②③④により、入所者は日常的な自立歩行は困難であるが、ある程度挙動傾向のみられる対象者であり、転倒の危険が高いことは予見可能であり、他の利用者の洗身介助を行うにあたり、他の介助者に見守りを依頼せず、側に寄せて注視するだけでは注意義務を尽くしたことにはならない。として、事業所の責任を認めています。

裁判例からみる取るべき対応

本件では事業所に830万円の賠償が認められています。

この裁判例からわかることは、浴室など介護事故が発生しやすい危険な場所における介護については、より高度の注意義務(介護事故の予見可能性と介護事故の結果回避義務)が課されるため、事故を防止するために、より万全の体制で臨む必要があるということです。実際にこの判決の中では、入浴介助の人数(利用者5名に対し介助者2名であったこと)について、「介助者を増やすことは人数的に困難であったと認められるが、そのことをもって事業所の注意義務が軽減されることはない」と指摘しており、人員体制の不足は注意義務を軽減する理由になることはないと指摘しています。

入浴介助については、転倒の他、浴室内での溺死という重大な事故が発生し得る場ですので、人員体制も含め、十分な安全対策を講じることが求められているということができるでしょう。

事故概要

スーパーマーケット(以下「本件店舗」という)を訪れた客が、店舗内の床の管理が不十分で、床が濡れていたために店舗内で転倒し傷害を負った 

この事故の事故パターン

 

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  濡れ  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 

 

事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 その他室内  
建築部位 平坦な床  
事故にあった方 年齢 38歳 
性別 女性 

判例の詳細

責任の所在
店舗建物を管理している会社の工作物責任を否定 清掃を怠ったとする従業員の責任を前提とする店長(使用者)の責任を否定
瑕疵・過失の有無
瑕疵、過失いずれも無                                                                                                                      

判例の解説

裁判所の判断
裁判所は、概ね以下のように述べて、工作物責任・使用者責任のいずれについても理由がないとして、原告の請求を棄却した。

① 本件店舗の床はそれ自体として特段危険性を有するものではなく、床に水濡れが生じたとしても直ちに危険となるものではないが、床の一部分についてのみ大きな水濡れが生じ、周辺と大きな滑り抵抗値の差が生じた場合には、一応転倒の原因ともなりうる状況にあったものというべきである。

② 床の清掃状況、当日は冬であり、また降雨の有無はともかく雨天気味で湿気は相当にあったと考えられ、床に水分があった際に乾燥するまで時間がかかると考えられる状況にあったこと等の事情が認められ、これらによれば、本件当日に転倒現場付近で開店前の水モップ拭きが行われた可能性は必ずしも否定されないが、大量の水が転倒現場付近にばらまかれるような事象が起きた形跡は特段ない。

③ 開店時間前後において本件店舗付近、あるいは原告宅から本件店舗までの道のりにおいて強い雨が降っていたと考えることはできず、原告の衣服等から多量の水が床に落ちたと考えられるわけでもないのであって、転倒当時の床の状況としては、床が多少水分を帯びていた状況自体はあったとしても、それを越えて、床の上に水が浮いているような状況であったとは考えられない。

④ このような床の状況を前提とすると、元々本件店舗の床材は転倒事故を起こしやすいようなものではなく、また転倒現場付近の床は若干水分を含んでいたという程度の状況にとどまるものであったと考えられ、滑り抵抗が常に転倒の危険を生じるほどに低下していたり、あるいは床の他の部分と極端な滑り抵抗の差が生じるような状況にあったとは認められない。

⑤ 本件店舗において他に転倒事故が発生していた形跡が全くないことにも照らすと、転倒現場付近の床が一般的に転倒を誘発するような危険な状況にあったとはいえない。

⑥ 以上からすれば、本件店舗の床の管理について瑕疵があったとは認められず、また被告従業員において床の管理に関する注意義務違反があったとも認められない。

本判決のポイント
建物等の瑕疵に基づく工作物責任や安全配慮義務違反に基づく責任の有無につき、建物や設備が法令に従いかつ性能的に十分な安全性を確保しているかを問うている点や、ほかに同様の事故が生じていたか否かを上記責任の有無のひとつの判断材料としていることが参考となる。

事件番号・判例時報 平成21年(ワ)第850号
2113号119頁 
裁判年月日 平成22年12月22日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 名古屋地裁岡崎支部 
判示 棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 38歳女性(当日の服装は、下はジーンズ、上はパーカー、バックを持ちスニーカーを履いていた) 
天候等の状況 事故当日の朝は小雨が降っていたが、事故が発生した時間帯は降水量ゼロであった。ただし地面は濡れていた。 

事故概要

雨が降っており、誰かが掃除をしており、水浸しで滑りやすい状態であっただけではなく、入り口付近のタイルが大変滑りやすい状態になっており、その上、小さな段差が多数見られるので、つまずいたり、滑ってしまい、頭を強く打ってしまった。

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この事故の事故パターン

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  すべる床材  すべる  転倒(床の上で転ぶこと) 
 

転倒 滑る 床 事故 怪我 裁判 介護 病院 老人保健施設 

□関係する法令 その1 2006年 バリアフリー新法が施行

○「バリアフリー新法は義務化であり、場合によっては罰則がある」

 ■第9条、建築基準法に基き、不特定多数が利用する建物への円滑化の促進と安全対策。

 ■第12条、視覚障害者が利用する箇所への円滑化の促進と安全対策。

 ■第9条又は12条を違反した場合300万円以下の罰則。

 □関係する法令 その2 (公共空間、公共交通機関ではこちらが重要視されている)高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律基本方針の全部改正告示平成23年3月31日

(1)旅客施設 対象:鉄道駅、バスターミナル、旅客船、航空旅客ターミナル 1日3,000人以上利用する施設については、平成32年度までに、原則として全てについて移動等円滑化を実施する。

(2)車両等 対象:鉄道車両、バス、船舶、航空機 総車両数の70%に当たる車両について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。 *船舶は50% 航空機は90%

(3)道路 原則として重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する全ての道路について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。

(4)都市公園 都市公園の60%に当たる車両について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。

(5)建築物 2,000㎡以上の特別特定建築物の総ストックの約60%について、平成32年度までに移動等円滑化を実施する。 10年後を目処に高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用する施設について移動等円滑化基準への適合を義務付け移動等円滑化とは・・・手すり、エレベーター、滑りにくい床材、階段の段差識別等、歩行が容易になるような対策を指す。転倒事故は自己の不注意として片づけられる場合が多かったが、近年、管理者の責任が問われる場合が多く判例でも厳しく責任を問われています。判例の中で施設管理者は床材を滑りにくくする義務があると厳しく指摘されています。

  □転倒事故での責任追及

 □責任追及順位

1.滑りやすいと分かっていた所有者

2.滑りやすいと気付いていた管理者

3.滑りやすい材質を使用した設計者

4.滑りやすい材質を販売した製造者

5.転倒した利用者所有者責任が一番にきます!

□危機管理や防衛は万全ですか?

  弁護士の見解店舗や施設など管理者が床面の滑りやすい状態を確認し、張り紙で(足元が滑りやすいのでご注意下さい)などと注意した場合でも、滑り止めなどの安全対策を施さないと、転倒事故が発生した場合、裁判の判例では店舗や施設側に不利な判決が出て、支払い命令が生じる場合が殆どです。よって、バリアフリー新法が義務化になっている現在では、店舗・ビル・施設などの安全管理上、滑り止めは避けては通れない安全対策です。

 裁判所支払命令コンビニ内での転倒事故 115万円の支払い命令

 スポーツクラブ施設内の廊下での転倒事故 332万円の支払命令

 ビル内での転倒事故 2,200万円の支払命令

 ○ ホテル大浴場の階段部分での転倒による損害賠償請求訴訟

 ○ 庁舎内にある職員食堂通路部分での転倒につき損害賠償請求訴訟

 ○ 民宿旅館の浴場での転倒による支払命令

 ○ 薬局店内で転倒事故による支払い請求

 ○ 歩行者が公共施設のグレーチングで転倒し損害賠償請求訴訟 ※ 利用者が訴訟を起こすケースは 増加傾向にあります。 またマスコミにより企業が失う信用の損失は図りきれません。

 □ 転倒事故の判例結果

 □ 安全対策が追いつかないワケ →安全対策工事にはあらゆる制約があります。安全対策工事の進まない大きな原因の一つとして、既存の建築物はさまざまな、生産活動をしているという事があります。この生産活動を停止して工事を優先する事は大きな損失になるため、生産活動をしながら安全対策工事をしていくという制約があります。 特にインフラと言われる 駅などの交通機関や公共性・商業性の高い建築物にとっては作業条件・時間制約が厳しく限定されており安全対策工事のための改修期間・時間を確保することは非常に困難です。

施設トイレ内の転倒事故で利用者が大怪我。責任は誰にある?

こんにちは。
弁護士の中沢信介です。

今回は、リハビリに携わっている方々、皆さんの間で必ず問題となる転倒というテーマを取り上げたいと思います。高齢者の転倒はその後のQOL(クオリティーオブライフ)の著しい低下や死亡事故を引き起こす大変重大な問題です。どのような場合に、法的な責任が発生するかを勉強することにより日ごろの業務に活かしていただければと思います。

中沢弁護士

A次郎さん、こんにちは。前回の裁判例の教訓を活かすことはできていますか。

A次郎さん

大変ではありますが、小まめに記録をとるように心がけています。

中沢弁護士

そうですか。非常にいいことですね。この調子で一緒に勉強をしていきましょう。ところで、A次郎さん、結婚することになったんですよね!

A次郎さん

えっ、いきなりなんですか(汗)

中沢弁護士

いやいや、めでたいなと思いまして。A次郎さんが結婚ですか……高校時代、色々なことがありましたよね。あの頃お付き合いしていたのは……

A次郎さん

その話はまた今度しましょう!今はとにかく勉強をしましょう!さっ、さっそく始めましょう!!

中沢弁護士

そうですか? 残念ですね。では、さっそく始めていきましょうか(笑)

目次

質問

A次郎さん

高齢者のリハビリを担当しているとやはり転倒のことが気になります。高齢になると皆さん足腰が弱くなってきて転びやすくなってしまうんですよね。そこで、今回は転倒の判例について教えて下さい。

中沢弁護士

わかりました。デイケア、デイサービス、ショートステイなど、どの場面でも必ず問題となるトイレに関する裁判例を取り上げてみたいと思います。

判例の事案

中沢弁護士

今回取り上げるのは、平成17年3月22日に横浜地方裁判所で判決となった事件についてです。
具体的には、通所介護ホームでデイサービスを受けていた85歳(事故当時)の女性(Xさん)がトイレの内部で転倒して、右大腿骨頸部内側骨折(みぎだいたいこつけいぶないそくこっせつ)の傷害を負い、その結果、重篤な後遺症を残した事案です。

A次郎さん

Xさんはどういう方だったのですか。

中沢弁護士

Xさんは、昭和60年ごろ70歳の時に、左大腿骨頸部を骨折しました。今回紛争となっている通所介護サービスの利用を開始したのは、平成11年になってからで、その当時、Xさんは、82歳です。週1回、デイサービスを利用していました。平成12年には、介護保険法上の要介護状態区分について、要介護2と認定されていました。

A次郎さん

それであれば、Xさんは、おおむね、日常生活動作について部分的な介護を要する状態ということですね。

中沢弁護士

そうですね。
Xさんは、平成13年2月になって、当該通所介護サービスの施設の玄関ホールでつまずき、しりもちをついて転倒しました。それ以降、施設の職員の方々も、Xさんが移動するときは、見守りまたは付添いなどの介助が必要であると認識し、実際に通所介護記録書にそのような内容の記載をするようになりました。事故が発生したのは、平成14年7月1日なのですが、その直前のXさんの状況は、何かにつかまらなければ立ち上がることはできず、基本的には手元にある杖を支えとして立ち上がっていました。また、Xさんは歩行時に常時杖を利用していましたが、不安定でいつ転ぶかわからない状況でした。

A次郎さん

どういう状態で事故が起きたのですか。

中沢弁護士

Xさんは、事故当日、送迎を待っている間、施設内にあるソファーから、いつも通り杖を使い、トイレに向かいました。この時、Xさんは、いつも利用しているトイレとは違う、ソファーに近いトイレに向かいました。そのトイレは、大きめの作りのトイレでした。トイレの入り口までは、職員が、付き添って行きました。しかし、トイレに到着して、ドアを開けたところで、Xさんが、「自分一人で大丈夫だから」といって、トイレに入りドアを閉めてしまいました。そのため、職員としては、中に入るか迷ったのですが、出てきたところで再び付き添おうと考え、その場を離れ、数メートル先の洗濯室で洗濯物を取り出そうとしていました。そうしたところ、Xさんは、トイレに入って、2、3歩、歩いたところ、右手に持っていた杖が突然右の方に滑ったため、横転し、右足の付け根を強く打ってしまいました。Xさんは、横転直後、痛いと叫んだため、すぐ近くにいた職員がトイレ入口まで駆け寄って、トイレを開け、横転したXさんを発見しました。

争点

A次郎さん

何が争いとなったのですか。

中沢弁護士

今回争いとなったのは、職員に安全配慮義務違反があったのかという点ですね。

A次郎さん

安全配慮義務違反というのはどのようなものなのでしょうか。

中沢弁護士

今回、Xさんは、当該施設と、通所介護サービスを行ってもらうという契約をしたわけですね。そういった契約をした以上、施設側には、施設内で転倒などを防止する義務が発生します。その義務に違反したかどうかという点が争われたわけですね。

判断

A次郎さん

実際に転んだのは、ドアを閉めたトイレの内部だったんですよね。内部まで付き添うかというのは、私たちにとってかなり悩ましいところです。高齢者の方のご意思を尊重したいと考えるからです。

中沢弁護士

そうですよね。ただ、今回の裁判でも安全配慮義務違反が認められてしまいました。

A次郎さん

そうなんですか……判断のポイントはどこにあるのでしょうか。

中沢弁護士

今回の判断の大きなポイントは、Xさんが、普段は使っていない大きなトイレを利用したという点にあると思います。今回Xさんが入ったトイレというのは、入り口から便器までの距離が1.8メートル、横幅が1.6メートルもありました。また、手すりは便器の周りにあるだけで、壁には設置されておらず、掴まるところがありませんでした。Xさんが転倒する危険というのは、施設の職員であれば誰もが認識しており、そのような状態のXさんを掴まる場所がないところに一人で行かせた場合には、転倒する危険があることは十分に予想することができたにもかかわらず、Xさんが便器のところに行くまで付き添うことをしなかったのは、安全に配慮する義務に違反したと判断されました。

A次郎さん

でも、Xさんがトイレの扉を閉める直前に「自分一人で大丈夫だから。」と言っているんですよ。Xさんがそう言い切ったのですから、それに反発して無理に入るのは難しいと思うのですが……

中沢弁護士

A次郎さんが言うのもごもっともだと思います。その点についても、裁判所は判断をした上で、責任を認めているんですね。

A次郎さん

どういう理屈なのですか。

中沢弁護士

今回Xさんが入ったトイレは、普段Xさんが利用していない大きなトイレであり、転倒の危険性が普段より高かったわけです。

A次郎さん

はい。そうだからこそ、職員さんも中に入るか迷ったんだと思います。

中沢弁護士

そのようなトイレに一人でXさんが入ると言った場合には、Xさんが拒絶の意思を一度示すだけでは足りず、専門的知識を有する職員の方から、介助の必要性・介助を受けない場合の危険性をしっかり説明し、それでもXさんの方から、拒絶の意思が示されるといった状況が必要ということです。そこまでいかないと専門職としての義務を尽くしたことにならないと判断されました。

A次郎さん

そうなんですか。たしかに、一度、Xさんが拒否しただけで、どんな状況でも専門職の責任が無くなるというのはおかしいかもしれませんね。

中沢弁護士

そうですね。これが今回のポイントですが、認知症の方などではなく、意識が清明な利用者にはしっかり判断の材料となることを伝えて、それに基づいて判断をしてもらうことが必要だということですね。
他方で、今回、裁判所は、Xさんが、普段使わないトイレを利用することを自ら選択し、付添いを拒絶した点を考慮し、過失相殺というものを認めました。

A次郎さん

過失相殺というのは何ですか?

中沢弁護士

過失相殺というのは、加害者に責任を負わせる一方で、損害の公平な分担という制度趣旨に基づき、被害者に過失がある場合には、その点を考慮して、加害者が支払う賠償金額を減額しようという制度です。過失相殺がよく出てくるのは交通事故の裁判のときです。

A次郎さん

こういった事案でも適用されるのですね。

中沢弁護士

そうですね。今回は、Xさんが自ら普段と違うトイレを利用することを選択し、その上で付添いを拒絶したことから、その過失を考慮して、職員側の責任を3割減額することとしました。結果、職員側は、1253万円程度の金額を支払うことになりました。

A次郎さん

それでも大変な金額ですね。

中沢弁護士

今回、Xさんはこの事故で要介護4と認定され、おおむね、介助なしに日常生活を営むことが困難な状態になってしまったことが、大きい要素といえると思います。
さて、今回のまとめですが、やはり先ほどお伝えした通りで、利用者が拒絶の申し出をしたからといって直ちに付添いなどの介助をやめるのではなく、専門職として、介助の必要性とそれを行わないことによってもたらされる危険性を利用者に真摯に説明する必要があるということです。

A次郎さん

わかりました。利用者の方には丁寧な説明を日ごろから行うように心がけます。ありがとうございました。

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事故 怪我 裁判 損害賠償請求

事故概要

スポ−ツクラブの正会員が、当該クラブのプ−ルで行われた水中体操に参加後、水着のままロッカ−ル−ムに通ずる廊下を歩行中転倒して負傷した。

本件事故当時、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、何らかの原因のために、利用者の身体から落ちた水滴が集まって小さな水たまりができやすかったこと、この箇所に水がたまっていると、滑りやすかった。 

この事故の事故パターン

  事故のきっかけ 事故の過程 結果 詳細と留意点
  濡れ  すべる  転倒(床の上で転ぶこと)   

事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 廊下・ホール  
建築部位 平坦な床  
障害程度 中度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
建物所有者(スポーツクラブ経営者)
瑕疵・過失の有無
瑕疵あり 

ア プール、シャワー利用後よく身体を拭かず、水着が水分を相当含んだ濡れた状態のままで利用者が通行することが少なくなかったため、本件廊下は、ナラの小市松材質でフローリングされた床面上に水滴が飛散し、しばしば滑りやすい状態になったこと

イ 利用者は素足で本件廊下を通行するので、転倒して受傷する危険性があったこと 

ウ 係員は、本件廊下やロッカールーム等をおおむね一時間おきに巡回して床の水をふき取ったり、プールでのレッスンが終了した後も、時間を見計らって本件廊下の水をふき取る等して清掃を行っていたが、その清掃が行われる前には、本件廊下、殊に、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、小さな水たまりができる等して滑りやすい状態になっていたこと、

エ にもかかわらず、カラーすのこを敷く等して右危険を防止する有効な措置が執られていなかったこと

から、本件施設には、設置又は保存の瑕疵がある。

過失相殺
被害者以外に同様の事故が生じやことはないことなどから被害者の過失を認め、過失相殺(4割)している。

判例の解説

事案の概要
スポ−ツクラブの正会員が、当該クラブのプ−ルで行われた水中体操に参加後、水着のままロッカ−ル−ムに通ずる廊下を歩行中転倒して負傷した事故が発生した。被害者が建物所有者であるスポーツクラブに対し、工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。

なお、本件事故当時、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、何らかの原因のために、利用者の身体から落ちた水滴が集まって小さな水たまりができやすかったこと、この箇所に水がたまっていると、滑りやすかったことが認められている。

裁判所の判断
裁判所は、

① 工作物ノ設置又ハ保存ニ瑕疵アル」とは、当該工作物が当初から、又は維持管理の間に、通常あるいは本来有すべき安全性に関する性状又は設備を欠くことをいい、その存否の判断にあたっては、当該工作物の設置された場所的環境、用途、利用状況等の諸般の事情を考慮し、当該工作物の通常の利用方法に即して生ずる危険に対して安全性を備えているか否かという観点から、当該工作物自体の危険性だけでなく、その危険を防止する機能を具備しているか否かも併せて判断すべきであるとした上で、

② 本件につき、

 ア プール、シャワー利用後よく身体を拭かず、水着が水分を相当含んだ濡れた状態のままで利用者が通行することが少なくなかったため、本件廊下は、ナラの小市松材質でフローリングされた床面上に水滴が飛散し、しばしば滑りやすい状態になったこと

 イ 利用者は素足で本件廊下を通行するので、転倒して受傷する危険性があったこと 

 ウ 係員は、本件廊下やロッカールーム等をおおむね一時間おきに巡回して床の水をふき取ったり、プールでのレッスンが終了した後も、時間を見計らって本件廊下の水をふき取る等して清掃を行っていたが、その清掃が行われる前には、本件廊下、殊に、前記コンクリート壁の端付近の箇所は、小さな水たまりができる等して滑りやすい状態になっていたこと、

 エ にもかかわらず、カラーすのこを敷く等して右危険を防止する有効な措置が執られていなかったこと

から、本件施設には、設置又は保存の瑕疵があったものと判断した。

③ また、会員の会則では「本クラブの利用に際して、会員本人または第三者に生じた人的・物的事故については、会社側に重過失のある場合を除き、会社は一切損害賠償の責を

負わないものとする。」旨定めているが、本件施設の設置又は保存の瑕疵により事故が発生した場合の被告の損害賠償責任は、スポーツ施設を利用する者の自己責任に帰する領域のものではなく、本件規定の対象外であるとした(免責規定による免責は認めなかった)。

④ ただし、被害者以外に同様の事故が生じやことはないことなどから被害者の過失を認め、過失相殺(4割)している。

事件番号・判例時報 平成7年(ワ)18345

1627号129頁

953号208頁 
裁判年月日 平成9年2月13日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 東京地裁 
判示 一部容認

一部棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 利用者 
天候等の状況  

スーパーに落ちてた「カボチャの天ぷら」で客転倒、店はどこまで責任を負うのか?

首都圏で展開しているスーパー「サミット」の店舗で、床に落ちていた天ぷらを踏んで転倒し、ケガをしたとして、30代の男性客が、同社に対し約140万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は12月8日、同社が安全管理を怠ったと認めて、約57万円の支払いを命じた。

報道によると、男性は2018年4月、サミットストア練馬春日町店(東京都練馬区)で、レジ付近に落ちていたカボチャの天ぷらで足を滑らせて転倒し、ひざを負傷した。

東京地裁は、天ぷらを落としたのは、従業員ではなく、利用客によるものだったとしたうえで、消費者庁のデータを基づいて「想定外の事態とはいえない」と指摘。店側が安全確認の徹底などで「物が落下した状況が生じないようにすべき義務を尽くさなかった」と判断した。

一方、天ぷらの大きさからして、男性も容易に天ぷらの存在に気づくことができたにもかかわらず、足元の注意を怠った過失があったとして、賠償額を減らしたという。

店側にとっては厳しい判決となったが、どこまで安全管理についての義務を負わなければならないのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

●店側には来店客がケガを負わないよう注意すべき義務がある

——店側の安全管理に関する義務違反が認められましたが、通常、店側は具体的にどのような義務を負っているのでしょうか。

民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」として、不法行為責任を定めています。

これは、加害者と被害者との間の契約関係の有無を問わずに規律する一般的な責任ですから、不特定多数の利用客が出入りするスーパーも、この責任を免除されるわけではなく、利用客の権利または法律上保護される利益を侵害しないよう注意すべき義務があるということになります。

他方で、安全配慮義務違反というものがあります。これは、一般的に雇用主と従業員との間の雇用関係などに基づいて生じる契約責任の問題であって、上記の不法行為責任とは異なります。

どちらも損害賠償責任という点では同じですが、立証責任や消滅時効の期間などで違いが生じます。

——今回のケースはどちらでしょうか。

今回の判決は、報道の限りでは「安全管理を怠った」とされており、「安全配慮義務を怠った」とはされていませんので、安全配慮義務違反を認めたものと解するのは早計であり、一般の不法行為責任を認めたに過ぎないものと推測されます。

不特定多数の利用客がスーパーに入店することで、直ちにスーパーに対して利用客に対する安全配慮義務を課すほどの契約関係が生じると解釈するのは困難だからです。

——義務違反となるか否かのポイントはどこにありますか。

今回のケースは、スーパーの利用客が落とした天ぷらを別の利用客が踏んで転倒し、ケガをしたというものです。

通常であれば、スーパー側の過失(注意義務違反)については、落ちている天ぷらをしばらく放置したという点に求めることになるでしょうが、その場合は「放置した」といえるか否かを解明する必要があるでしょう。

●「どこまで注意義務を負うのか」は、実際の事故件数なども影響

——落下した直後の転倒などは、常時監視していても防ぎようがないように思われますが、そのような場合にまで義務違反が認められてしまうのでしょうか。

常時監視していたのに防げないような落とした直後の転倒を防ぐためには、そもそも利用客が落とさないような仕組みを考えるほかないと思いますが、常時監視も含めてそこまでの注意義務をスーパーに負わせることは行き過ぎという気もしますし、一方で、超高齢社会といった時代を背景に、そこまでの注意義務を負わせても問題ないといった考え方も出てくるでしょう。

——ネットでは「店が悪いのか?」「客が落としたものにまで責任を負うのか」などの意見が見られます。

買い物をする高齢者の割合が増加し、実際にも転倒事故が増えているということであれば、スーパー側にこれを防ぐための注意義務を課すということは、あながち不自然なことではありません。

不法行為責任の要件である過失の前提となる注意義務は、法律の明文に規定されているものだけでなく、社会生活上の諸般の事情を根拠として導かれるものも多々あります。

後者の場合は過失の有無をめぐって争いの種になりますので、最終的には司法の判断を待つしかありません。

——店側としては、今後どのような対応が求められるのでしょうか。

今回の判決がいわゆる先例として定着するかどうかは不明ですが、もしも定着したら、スーパーとしては、お惣菜売り場に監視員を常駐させるというところまではいかないにしても、定期的に天ぷらが落ちているか否かを確認することくらいは検討する必要が出てくるように思います。

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